こないだボブ・デイランの伝記映画「アイム・ノット・ゼア」を監督したトッド・ヘインズが無名時代に作った、カレン・カーペンターの生涯を描いた短編映画「Superstar: The Karen Carpenter Story」を観た。
これはカレンをはじめとする登場人物の殆どがバービー人形によって演じられているのが特徴で、カレン・カーペンターのお人形劇というのはゲイの監督にはたまらん題材だったろうなあ。ただし内容はまるで明るくなくて、威圧的な母親のもとで育ち、自分の体型を気にして拒食症に陥っていくカレンの姿を、暗くもはかなく描いている。低予算作品ながらセットのデザインとかは凝っていて、話の後半になると人形の姿が痩せていくのが妙にリアルだったりする。初期のデビッド・リンチが作っていたアニメに雰囲気は似てるんじゃないのかな。
内容が内容だけにリチャード・カーペンターが観て激怒したことと、カーペンターズの楽曲の使用について権利料を払ってなかったことでリチャードに訴えられ、いまでは公開禁止になってしまった作品だが、そこは21世紀、Google Videoでちゃっかり観えちゃったりする。俺みたいにカーペンターズのファンでなくても楽しめる小品。