「ON BECOMING A GOD IN CENTRAL FLORIDA」鑑賞

SHOWTIMEの新作ドラマ。放送前にホームページで2話ほど公開されてるのを観た。

舞台は1992年のフロリダの小さな町。そこのウォーターパークで働くクリスタルは、夫のトラビスとともにファウンダース・アメリカン・マーチャンダイズ(FAM)というマルチ商法の会員だったが、クリスタルたちが頑張って新規会員を獲得しても彼女たちの収入が増えるわけでもなく、夫婦の生活は困窮していた。クリスタルはFAMのやり方に疑念を抱く一方で、トラビスはFAMの熱心な信者であり創設者の教えが吹き込まれたテープも真面目に聴いていたが、不慮の事故によって亡くなってしまう。トラビスはFAMのために働いていた最中に亡くなったとしてクリスタルはFAMに賠償を求めようとするものの、彼は従業員でなく「個人事業者」であったというFAMの言い分にあえなく敗退。さらに自分の知らなかった借金があることが判明し、家を追い出される寸前になったクリスタルは、仕方なしにFAMのために働き続けることになるのだが…というあらすじ。

生活費を稼ぐため怪しいことに手を出すシングルマザーの物語って、同じくSHOWTIMEの「WEEDS」に似ているような?つうか最近のSHOWTIMEの番組って、みんな過去が舞台になってないか?80年代後半が舞台の「BLACK MONDAY」、90年代初頭の「CITY ON A HILL」、数年前の事件を描いた「THE LOUDEST VOICE」「ESCAPE AT DANNEMORA」などなど。過去の出来事が現在の世相に関係しているような内容なら分かるのだけど、この番組なんかはなぜ舞台を1992年にしたのかよく理解できんなあ。

未亡人の復讐譚、とするにはクリスタルがあまりにも非力で、次々と不運に見舞われるのでスカッとするような展開はなし。2話観てもあまり話が進まなかったのだが、これからクリスタルが組織のなかでのし上がっていくのだろうか。彼女に好意的な隣人の振る舞いもいまいち分からなかったし。

クリスタルを演じるのはキルステン・ダンストで、「スパイダーマン」とかに出てたころはそんなにいい役者だとも思わなかったけど、「ファーゴ」でやつれた主婦を演じたのはとても良かったのですよね。今回もその路線で、体型も緩くなってタバコくわえたタフな主婦を演じています。あとは知った顔だとFAMのカルト的リーダーにテッド・レヴィン。クリスタルにあれこれ口出しするFAMの支局長をテオドール・ペルランが演じていて、この役者は知らなかったけどいい演技してますね。

これクリエーターはロバート・フュンケとマット・ラツキーというほぼ新人のひとたちで、どうやってシリーズ制作にゴーサインもらったんだろう。プロデューサーにはダンストのほかにジョージ・クルーニーとグラント・ヘスロヴが名を連ねてます。当初はAMCで放送される予定で、第1話の監督はヨルゴス・ランティモスが担当する予定だったのが、いろいろあって彼は降板し、放送局もYotubeを経由してSHOWTIMEになったらしい。ランティモスの監督版はぜひ観てみたかった。

今のところ本国の批評は好意的なようだし、放送が始まったらもっと全体的な人気がわかるでしょう。個人的にはそんなに面白いとは思わなかったけど。