ニコラス・ケイジ主演の不条理コメディ。日本公開は11月。以降はネタバレ注意。
ポールは小さな大学で進化生物学を教えているしがない教授だったが、自分の娘をはじめとして他の人たちの夢のなかに彼が登場するということが話題になり、彼を夢のなかで見たという人が何百人も出てきたことで彼は一躍有名人になる。夢のなかの彼はただ突っ立って出来事を眺めているだけという役割だったが、彼の存在は宣伝に使えると考えたマーケティング会社にポールはコンタクトされる。それが自分の研究書の出版につながるかもしれないと考えた彼は会社の話を聞くことにするものの、人の夢のなかのポールがあらぬ行動をとるようになってしまい…というあらすじ。
元ネタは都市伝説の「THIS MAN」だろうし、プロデューサーとしてアリ・アスターが関わっているもののホラーの要素は殆どなくて、むしろチャーリー・カウフマンの作品のような不条理コメディのような内容になっている。自分の知らないところで勝手に人の夢のなかに登場させられて、やがて気持ち悪がられて世間一般から拒絶されるポールが不憫すぎて泣けてくるのよ。カフカ的とでもいうんだろうか。
そんな哀れなポールを演じるのが、最近いい映画に出まくっているニコラス・ケイジ。ハゲたさえないオッサンを熱演しています。ほかにディラン・ベイカーやマイケル・セラ、ティム・メドウスなど俺好みの役者が脇を固めている。監督のクリストファー・ボルグリって、前作「SICK OF MYSELF」もチェックしないとな。
ネタバレになるのであまり内容について詳しくは書かないけど、個人的にはかなり面白かった。話の終わらせ方も、かなり難しい設定のなかでうまく着地できたほうなんじゃないの。万人受けする作品ではないだろうけど俺はこういうの好きです。