コミック・ファンのあいだでは定説となりつつある話として、「フランク・ミラーはここ10年のあいだ、徐々にしかし確実に正気を失いつつある」というのがありまして、これは例えば「シン・シティ」の「THE HARD GOODBYE」と「TO HELL AND BACK」、もしくは「ダークナイト・リターンズ」と「DK2」を読み比べてみたり、「ALL-STAR BATMAN AND ROBIN」を一瞥してみれば明らかなことなんだけれども、ここしばらくの作品はみんな話が大味になっていて、登場人物に深みが無いものになってるんだよね。911テロに精神的打撃を受けたことは本人も認めてるし、カラーリストのリン・ヴァーリィとも離婚したりして、まあいろいろあったのかもしれないけれど、昔はもっと業界で絶大なリスペクトを受ける作家だったんだがなあ。
でもその一方で「シン・シティ」と「300」という自身が原作者の映画がヒットしてしまったため、最近は映画業界の人になってしまった感があるのですが、その監督第一作である「THE SPIRIT」は公開前からボロクソに叩かれているらしい。これでもう映画監督としてのキャリアは無くなったかな、と思いきや次は「バック・ロジャース」の劇場版を監督するという話が伝わって来た。なぜ今になってバック・ロジャースなのか?ミラーのスタイルとは180度違う、明るくて未来的なコミックなのに…?「ミラー流の暗い話になる予定だ」なんて書かれてるけど、誰もバック・ロジャースにそんなもの期待してないぞ!とりあえずゴミ映画を作るのであれば、他人のコミックではなく自分の作品を映画化しましょうね。
ちなみに俺は70年代の「バック・ロジャース」のTVシリーズのオープニングが死ぬほど好きなのです:
こちらは「サウス・パーク」の良く出来たパロディ: