「Teenage Sex and Death at Camp Miasma」鑑賞

「I SAW THE TV GLOW (テレビの中に入りたい)」のジェーン・シェーンブルン監督の新作。以下はネタバレ注意。

かつて80年代に大きな人気を誇ったホラー映画「キャンプ・ミアズマ」は多数の続編が作られたヒットシリーズだったが、今となっては時代遅れの忘れられた作品になっていた。その復活に興味を示した映画会社は、若手女性監督のクリスにリブート作品を作るように依頼する。そこでクリスはシリーズの本質を理解するために、第1作でヒロインを演じた女優ビリー・プレスリーのもとに赴くが、彼女は映画の撮影後に役者業を引退しており、映画の舞台となった湖畔の古びたキャンプ場に住んでいるのだった…というあらすじ。

劇中に登場するスラッシャー映画「キャンプ・ミアズマ」は明白に「13日の金曜日」シリーズをモデルにしていて、かつてキャンプ場でいじめ殺されたノンバイナリーの少年が、怪人「リトル・デス」となって蘇り、キャンプにやってきた若者たちをサクサク殺していく姿は「13日」のジェイソンそのもの。通気口のでっかい四角いダクトを頭に被ったリトル・デスはホラー映画の怪物というよりも仮面ライダーの怪人みたいだけど、たまにダクトの中心から中の人の目が見えるデザインがちょっとカッコいい。

「I SAW THE TV GLOW」が「バフィー」まがいのTVシリーズを軸にしていたのと同様に、今回も「13日」のような80年代ポップカルチャーを使って、若者のクィア的な目覚めを描いた内容になっている。女性監督が主人公ということで、クリスは多分にシェーンブルン本人を投影したキャラクターになっており、謎めいたビリーに惹かれていくとともに、映画と現実の境界が曖昧になっていく。

セックスにおいて快感を得られないという経験を持っているクリスもビリーが、「リトル・デス」(フランス語でエクスタシーの意味)に襲われる、というのはメタファーとしてコテコテすぎるだろとは思うものの、80年代スラッシャー映画のオマージュ(パロディー?)としてもよく出来ていた。

クリス役にはハンナ・アインビンダーで、ビリー役にジリアン・アンダーソン。この起用は「Xファイル」観ていた監督の意向があるそうな。あとはディラン・ベイカーがちょっとだけ出ていた。

前作のヒットを受けて、今回はブラッド・ピットがプロデューサーについたり、REMの楽曲を使うなど全体的に予算が増えたようで、内容も(いちおう)わかりやすい洗練されたものになっていた。その一方で、前作にあった荒削りな部分というか、TVシリーズにまつわる陰謀論が展開される話も好きだったので、そこは好みが別れるかもしれない。