遅ればせながら。
いや、非常に優れた映画なんですけどね。ただダーレン・アロノフスキーの映画だというところにどうしても違和感を感じてしまうなあ。今までの彼の作品と全然違うタッチなので。まあここらへんでちょっと地味な映画を作りたくなったんでしょうか。底辺の人々の描写は「レクイエム〜」に通じるところがあるけどね。
ケットル星人のごとき容姿のミッキー・ロークの演技が素晴らしいのはいわずもがなだが、ダメ男を叱る女性2人の姿がもっと怖かったのです。難点を挙げるとすれば脚本がちょっと固いというかクリーシェ気味なところで、カッターで指を切りそうだと思わせておいて、本当に切ってしまうあたりはちょっとストレートすぎるかと。でも脚本家のロバート・シーゲルは「オニオン」出身だし、彼がこんど監督&脚本を担当する「BIG FAN」なる映画は結構面白そうなので今後に期待。
個人的には、アロノフスキーの作品だという先入観がなければもっと楽しめたかもしれない。「レクイエム〜」にしろ「ファウンテン」にしろ、あの人の新作って自分の中では大イベント的なところがあったので、変に期待しすぎていたのかも。でもいい作品ですよ。