きのう言及したインタビューにおいて、マット・グレーニング先生が「LOOK AROUND YOU」(2002)なるイギリスのコメディ・シリーズを絶賛してたので早速鑑賞してみる。
いやー。世の中にこんなすごいシリーズがあったとは知らなんだ。
このシリーズのコンセプトは要するに70年代の教育番組のパロディで、NHK教育でやってるような味気ない科学の番組をパロったもの。タイトルも「身近なものに目を向けてみよう」といった意味になっている。コンセプト自体は他愛ないものに聞こえるかもしれないが、とにかくその懲りようとシュールさが半端じゃないのだ。レトロな感じを出すために古いフィルムや実験機材を使ったり、「教科書のXXXページを開いてください」とか「このことをノートに書いておきましょう」といったナレーションが入って典型的な教育番組を完全に模倣してるほか、「カルシウム」「硫黄」「音楽」といったテーマが毎回とりあげられ、それらに関して想像を絶するような珍事実が淡々と説明されるのだ。例えば:
●水にガスを通すとウィスキーが精製される
●バイ菌(germs)はドイツ(Germany)から発生した
●幽霊は帽子をかぶれる
●硫黄とシャンペンを混ぜて飲むと、目から怪光線が出る
●豆を切開すると、豆の脳が出てくる
といった、もうムチャクチャな科学的事実が紹介されていく。普通のコメディ番組なら少しはウケ狙いをするというか、笑いをとる間なんかをとりそうなものだけど、この番組はもう徹底的に観客を突き放した感じで、ひたすら淡々とジョークを飛ばしまくってるのが凄い。もはや前衛映画の域に達していると言ってもいいくらい。こういう番組はアメリカや日本からはまず出てこないだろうなあ。「シンプソンズ」によく出てくる、レトロな教育映画(トロイ・マクルーアが出演してるやつ)とコンセプトが少し似てるので、グレーニングはそこを気に入ったのかもしれない。
今回観た第1シーズンは各エピソードが10分(パイロットは20分)というものだったけど、第2シーズンは各エピソード30分になってるとか。また観たら報告します。