「ウルフマン」鑑賞

近年では珍しいくらいに何のヒネリもない映画。イギリスの片田舎で怪物による襲撃があって、どうも主人公の親父が怪しくて、そんなうちに主人公も怪物に襲われて狼男になってしまって…という先の読める展開が淡々と語られるだけで、話の盛り上がりがとても欠けてるんだよな。最後は「サンダ対ガイラ」みたいになってたし。

そもそもこういう物語って恐ろしい呪いをかけられた主人公の苦悩を描かないといけないんだが、ベニチオ・デル・トロは仏頂面して悶々としてるだけだから、自分の境遇を甘受してるかのように見えてしまうんだよな。そもそもデル・トロは元の顔が怪物っぽいので、狼男になってもあまり違和感が無いのはどうかと。彼の親父を演じるアンソニー・ホプキンスも露骨に手を抜いて演技してるのがバレバレで、まあギャラがもらえれば良かったんじゃないの。

特殊メイクにリック・ベイカーを起用したことは賞賛できるが、肝心の狼男も半分くらいのシーンはCGなので彼がどのくらい関わったのかはよく分からず。ストーリー自体は全然怖くないのに、血なまぐさい描写を増やしたことでR15指定になって観客を減らす結果になったのも失敗じゃないですか。とにかくCGに頼りすぎというか、今の観客はCGに対して目が肥えているから、CGは抑えめに使わないと逆にチャチっぽく見えてしまうと思うんだけどね。

もし続編があるとすれば「切り裂きジャック 対 狼男」のような展開が期待できたわけで、たぶんそっちのほうが今作よりも面白くなったんだろうけど、興行的に失敗してるから続きは無いだろうなあ。過去のユニバーサル・ホラーをリメイクするなら、特殊効果だけでなくストーリーもちゃんと練り込みなさいよ、ということを教えてくれる一本だろう。

あと音声で「ジプシー」って言ってるのがはっきり聞こえるんだから、変に気をつかって字幕を全て「流浪民」とする必要もないだろうに!「あまり適切でない言葉があったけど、物語の都合で使いましたよ」といった断り書きを最後に入れるのではダメなんだろうか。

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