A&Eの新作刑事ドラマ。なんか呆れるくらいの凡作だった。
主人公のジムは敏腕だが型破りの刑事で、シカゴで上司とモメてフロリダにやってきたものの、そこでもマイペースを貫き周囲の同僚に迷惑をかけていた。そんなある日、沼地で女性の首なし死体が見つかり、ジムは捜査に乗り出すのだが…というのが第1話のプロット。
主人公のジムはいわゆる「ハウス」的な「優秀だが嫌な奴」という設定なんだけど、実のところ終始ニヤついて聞き込みの相手を侮辱してるだけで、どこらへんが優秀なのかはよく分からず。事件現場をウロついて、沼から証拠品を拾ってるくらいしか捜査らしいことはしていなかったような。彼を演じるマット・パスモアとかいう俳優もぜんぜん深みのある演技をしてないし。キャストのなかでは「シャッター・アイランド」のジョン・キャロル・リンチが相変わらず良かったんだけど、どうもレギュラーでなくゲスト出演の立場のようだった。
一番ムカついたのは死体の発見者たちに主人公が何度も聞き込みを行って、どんどん彼らのアリバイを崩していくのかと思いきや、最後にまったく予想もしてなかったところから真犯人が出てきて、それまで観ていた人の期待をガラガラと崩壊させるようなオチになったところ。ああいうのはドンデン返しと言うのではなくて、単なるこじつけだよ。
パイロット・エピソードである程度話が完結すること自体には何の不満もないが、普通は少し伏線を残しておくとか、主人公の過去を謎めいたものにしとくとか、登場人物同士の関係を波乱含みのものにしとくとか、何かそういうフックのようなものをつくって、次の話も観たいなと人に思わせるべきなんだけどね。これはそういう発展性をすべて自ら断ち切ってしまったという、ある意味では感心できるくらいに珍しい番組であった。よくこんな脚本にGOサインが出たよな。
というわけで、フロリダを舞台にしたシリーズが楽しみたいのなら「バーン・ノーティス」を観ましょう。