1936年に公開され、その内容のチープさが60年代あたりにカルト人気を呼んで、最近ではミュージカル化やそのTVムービー化までされた教育映画(といっても実はエクスプロイテーション映画)「REEFER MADNESS 」をarchive.orgからダウンロードして観る。 タイトルから想像がつくように、これはマリファナ(当時はMARIHUANAと綴ってた)の害を警告するために製作された作品。ある健全な若き恋人たち(「ロミオとジュリエット」を朗読したりするのが見ててムカつく)が、マリファナ・パーティーを開いている男女に勧められて悪魔のハッパに手を出してしまい、それが悲劇に結びつくことになる…という、まあ、教育映画にありがちなストーリーです。
いちおう最初と最後に博士らしき人物が登場して「この物語は事実に基づいたものであり、マリファナの恐ろしさを訴えるものです…」みたいな、実におざなりなメッセージを添えてるんだけど、肝心の内容には、犯罪・殺人・ひき逃げ・レイプ未遂・自殺・セックス・そしてもちろんドラッグと、エクスプロイテーション映画の要素がぎっしりと詰まっていたりする。それにこの時代特有の過剰な演技が加わって、教育映画の堅苦しさなんぞ微塵も感じられない娯楽作品になってしまっているのがミソ。雰囲気的にはジョン・ウォーターズの「シリアル・ママ」に似てるかな。劇中ではマリファナをふかした人があまりにも簡単にハイになってしまうものだから、あー自分もやってみたい、と思った観客も当時いたんじゃないだろうか。むしろ禁煙指向の現代人にとっては、平気でタバコに手を出すヒロインの姿のほうがショッキングに映るかもしれない。
現在では大統領もやってたらしい悪魔のハッパですが、1930年代においてはとっても怖いものだと見なされてたんですね。