「The Ides of March」鑑賞


ジョージ・クルーニー監督、ライアン・ゴズリング主演の政治サスペンス。よく考えたら俺はクルーニーの監督作はおろかゴズリングが出演してる映画を観るのが初めてだった。あらすじを書くだけでもネタバレになりそうな作品なので、以下はご注意を。

舞台となるのはオハイオ州での民主党の大統領候補選挙で、ペンシルバニア知事のモリス知事がアーカンソーのプルマン知事と接戦を繰り広げ、オハイオを制した者が民主党の正式な指名を受け、共和党の候補も破って次期大統領になることは確実視されていた。主人公のスティーブはモリス知事(演じるのはクルーニー)のキャンペーンの若きスタッフで、知事自身および上司のポールから選挙活動のノウハウを学びながら知事の当選に尽力していた。そんなとき彼はプルマン知事のキャンペーンのマネージャーであるトムから要請を受け、他のスタッフに内緒で彼と会うことになる。そしてトムはスティーブンを自分のチームに引き抜きたいと彼に伝えるが、スティーブンはこれを固辞してモリス知事のところへと戻る。しかし彼はそのとき既に陰謀の渦にとらわれていたのだった…というような話。

とはいえ国家を揺るがすような陰謀などは出てこなくて、もっと個人的なレベルでの駆け引きで罠にはまった主人公が、やがて反撃に転じるといった内容。話の後半になると主人公が復讐者モードになるんだが、寡黙に仕事をこなしてく役がゴズリングにはよく似合ってるな。

ただし話の展開が全体的におとなしいというか、観終わったあとによくよく考えると主人公も他の登場人物もあまり多くのことをやってないような気もする。あくまでも普通の選挙活動の裏側で起きてそうなことというか。まあそれがポイントなのかもしれないけどね。映画のいちばんの教訓が「ゴムはつけろ」だというのはいかがなものか。

クリーニーとゴズリングのほかにも熟練した出演者が揃っていて、フィリップ・シーモア・ホフマンにポール・ジアマッティ、マリサ・トメイ、エヴァン・レイチェル・ウッドなどなど。それと光と影のコントラストをいかした画面作りが良かったな。これは監督というよりもDPの手腕によるものかもしれないけど。

これ日本では「スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜」というなんかちょっと違う邦題で3月末に公開されるようだけが、アメリカの政治用語や実際の政治家の引用などがバンバン飛び出すので日本の観客にウケるのは難しいんじゃないだろうか。「デイリーショー」とか見て勉強してるつもりの俺でも分かりにくいところがあったぞ。

今年は大統領選挙があるので実にタイムリーな映画ではあるのだが、共和党の候補者選挙で各候補が失言や足の引っ張り合いを繰り返してるのを見ると、こういう映画にあるようなスタイリッシュな駆け引きがどこまで実際に行われてるのか疑問に感じたりもしますね。

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