DVDで「スパイナル・タップ」を観る。欧米ではカルト的な人気を誇るドキュメンタリー風のコメディで、監督はロブ・ライナー(初監督作)だけど、その偽ドキュメンタリーのスタイルは主演のクリストファー・ゲストの後の作品(「ドッグ・ショウ」とか)にそのまま通じている。人気が落ち目のハードロック・バンド、スパイナル・タップのアメリカ・ツアーの光景を追ったというストーリーはシュールなジョークに溢れていて楽しい。あからさまなギャグに持っていかず、マヌケなんだけれども現実味のある内容になっているのが秀逸。
スパイナル・タップ自体はイギリスの70年代〜80年代初期のバンド(ブラック・サバスとか)をモデルにしているが、その自信過剰な言動や人気の衰え具合などは80年代後期に山ほど出てきて消えていったアメリカのメタル・バンドそのまんまなのが笑える。作品自体は1984年に公開だけど、ポイズンとかファースター・プッシーキャットとかいったバンドのドキュメンタリーと言っても通じるくらいのリアルさがあるんじゃないだろうか。最後に日本で新天地を求めるところなんか、本当によく出来ていると思う(王貞治のTシャツを着てライブをするラストには爆笑した)。なぜ日本ではまだDVDが出てないのだろう。絶対にウケると思うんだが。