サクッと観られる去年のサンダンス映画。
ダリウスは人見知りする孤独な少女で、シアトルの出版社でインターンとして働いていたが、新聞に載っていた「過去へ一緒にタイムトラベルしてくれる人を募集。安全は保証せず」という個人広告について調べるよう命じられ、広告を出したケネスという男性の住む町へと記者たちと3人で向かうことに。そこで出会ったケネスは風変わりな人物で、タイムトラベルができるという証拠を見せないまま、自分は政府に狙われていると言いながらも「タイムマシン」の構築の準備をしていた。そんな彼に戸惑いながらも、話をするうちに彼に興味を抱いていくダリウス。しかし怪しい男たちが実際にケネスを尾行していることが分かり…というプロット。
あらすじだけだとSFものっぽく聞こえるかもしれないが、科学技術とか政治サスペンスなどとは無縁の内容で、あくまでも社会のはずれ者たちの生活を描いた青春コメディになっている。ダリウスとケネスは過去における母親や恋人の死をトラウマとして抱え、ダリウスの同僚の記者たちも町で出会いや別れを経験していく。やはりSF的がそんなに強くなかったサンダンス映画「アナザー・プラネット」を100倍くらい軽くした感じですかね。なお前述の新聞広告は実在したもので、そこから話がふくらんでこの映画になったらしい。
主人公のダリウスを演じるのは「Parks and Recreation」のオーブリー・プラザ。ゴスというには不細工すぎ、上目遣いで睨むような風貌はコミュ障の主人公によく似合ってるのですが、「Parks」で演じてる役とあまり変わらないような?そんな彼女を翻弄するケネスを演じるのがマンブルコアで知られるデュプラス兄弟の片割れ、マーク・デュプラス。崩れたジェラルド・バトラーといった容貌でこちらも目つきが悪く、頭のネジの緩んだケネスを熱演している。あとはジェフ・ガーリンやクリスティン・ベルなどが拘束時間半日、といった感じのチョイ役で出演してました。
悪い作品ではないし、ラストの展開は結構面白かったものの、じゃあ日本でウケるかというとフックに欠けていることは否めない。今後もしかしてオーブリー・プラザがもんのすごく有名になったら、その人気にかこつけて変な邦題とともにDVD発売されるかもしれませんが。