「LOVE BITES」鑑賞


NBCの新シリーズ。といってもこれも製作されてから1年後にやっと放送された訳あり物件。登場人物が「ギャラクティカ」の最終回について語ってたり、BGMに「Great DJ」とか「1901」とかが使われてるのを聴くと、微妙な古くささを感じてしまうね。

内容は要するにテレビ版「ラブ・アクチュアリー」で、アメリカの各都市における男女の恋愛模様がアンソロジー形式で描かれていく。第1話では男をひっかけるために自分は処女だと偽った女性が、いざ男を連れ込んだら相手が気兼ねしてセックスしてくれないという話や、職場をクビになった男性が気落ちして帰宅したら、妻がバイブレーターにハマっていてさらに気落ちしたという話、そしてジェニファー・ラブ・ヒューイットのファンの男性が飛行機のなかでヒューレット本人と同席になり、やがていい仲になってしまい…という話の3つが語られていた。出演はヒューイット本人のほか、クリステン・リッター(はあと)とかクレイグ・ロビンソンなど。

いちおう狂言廻し的なキャラクターもいるようだけど、アンソロジー番組っていまどき地上波で通用するものなのかね?女性向けのニッチなケーブル局なら少しは長続きしそうだけど。NBCもそれを分かっていて放送を遅らせたんだろう。あと時間の都合からか恋愛の過程などはじっくり描かず、話がすべてセックスに直結してるのもどうかと思うけどね。

この調子だと1回あたり2〜3の男女の出会いが描かれるんだろうけど、30数年生きていてろくな出会いを体験したことのない1視聴者としては、「そんな幸運な出会いなんぞねえよ、ケッ!」と画面に悪態をつきたくなるのです。

「Franklin & Bash」鑑賞


TNTの新作ドラマ。でもパイロットは1年くらい前に製作されてたらしい。

いわゆるおちゃらけ弁護士もので、文字通りアンビュランス・チェイサーとして生計を立てていた若手弁護士のフランクリンとバッシュは、その型破りな法廷弁論をもって大手法律事務所との訴訟合戦に勝ったことから、その事務所の会長(マルコム・マクドウェル!)に気に入られて事務所に迎え入れられることになる。大きなオフィスを与えられて満足する2人だが、会長の甥が訴訟で不正をしようとしているのを知り、仲間たちとともに不正を阻止しようとする…というのが第1話のストーリー。

主演は「ガーフィールド」のブレッキン・メイヤーにマーク・ポール・ゴスラー(って誰だっけ)。基本的にコメディなので気軽に観られるところはあるんだが、既にデビッド・E・ケリーが何年も前に通った道を辿っているだけ、という印象は否めない。ケリーって全盛期は粗悪乱造してるイメージがあって好きじゃなかったけど、今になって思うと話のツボはちゃんと抑えてたし、社会問題などもうまく織り込んで巧みだったよな。

良くも悪くもないような作品だが、本国での評判はあまりよろしくないようなので長続きはしないかも。マルコム・マクドウェルはもっと大事に使わないといけませんぞ。

「THE SHADOW LINE」鑑賞


暗い刑事ドラマばかり作ってる感のあるBBCからの、さらなる暗い刑事ドラマ。出演者はキウェテル・イジョフォーにクリストファー・エクレストン、スティーブン・レイとやけに豪華だったりする。

車の中で男性の射殺体が発見された。その男は名の知れた麻薬王で長い刑期を務めていたのだが、謎の理由により王室の恩赦を受けて最近釈放されていたのだった。この事件を担当することになった刑事のジョナは数ヶ月前に何者かによって狙撃され、パートナーを失っただけでなく頭の中に銃弾が残るという大怪我から回復したばかりだった。警察が捜査を進める一方で、麻薬王の部下であったジョセフも、血気盛んな麻薬王の甥をなだめつつも彼の死の真相を探ろうとする。はたして麻薬王を殺したのは誰か?ジョナとジョセフにはどんな運命が待ち受けているのか…というような話。

警察と犯罪者の両方が殺人事件を調査するというプロットは面白いし、冒頭の死体が発見されるシーンの演出なんかも良く出来ている。自分の記憶に疑惑を抱くジョナとか、妻がアルツハイマーだと診断されたジョセフ、血で血を洗うギャング社会の姿などもうまく描けているかな。

ただし話を謎めいたものにしすぎて、全体的に説明不足になっている気もする。人物関係が分かりにくいところもあるし、ジョナの襲撃事件と今回の殺人事件に関係があるのかも不明。第1話にはスティーブン・レイが出てこなくて、彼がどんな役を演じるのかも分からない。次の話を観たいと思わせるような引っかけがもうちょっと必要なんじゃないかと。

傑作になりそうな可能性は十分あるので、時間があったら第2話も観て、その後も見続けるか判断しようかな。

「EXILE」鑑賞


BBCの全3話のミニ・シリーズで、主演は「ライフ・オン・マーズ」のジョン・シムとジム・ブロードベント。

性格に難がありロンドンでの職を失ったジャーナリストのトムは、10数年ぶりに地方の実家へと帰ってくる。そこには同じくジャーナリストだった父親と妹が暮らしていたが、父親はアルツハイマーにより息子の顔も分からない状態で、彼の面倒を妹が長年見ていたのだった。トムには10代のときに父親が保管していたファイルを覗き見たことで彼にひどく殴られ、それがきっかけで家を飛び出したという過去があり、いったいそのファイルには何が隠されていたのか彼は探ろうとする。しかしそれによって地元の有力者にまつわる大きな陰謀が明らかになっていき、さらにトムは自分に関わる秘密を知ることになる…というようなスリラー。

いかにもイギリス的な、どんより曇った天気の下でどんより話が進んでいく作品で、観終わったあともあまりカタルシスのようなものは得られなかったりする。陰謀の謎解きもちょっと都合のいい展開が続いたりして、例えば精神病院にまつわる謎がでてきたときに、トムの彼女の母親がそこで長らく働いていたことが判明して彼女から手がかりを得たりするのはちょっと安直なんじゃないかなあと。事件の黒幕との対決も結構あっけなかったし。

あとはシムとブロードベントの演技に期待するしかないのだが、前者は酒ばっか飲んでるし、後者はアルツハイマーという役柄のため他人とのかけ合いが皆無でちょっと肩すかし。「トロピック・サンダー」の「Never go full retard!」ってのはこういうことかと実感しましたよ。むしろ父親の面倒を見ることで青春時代をすべて無駄にした妹の演技の方が悲哀が出ていて良かったな。

全体の作り自体は手堅いので観ていて飽きるような作品ではないし、視聴者の評判も良いようなのだけど、人気俳優を2人起用し、アルツハイマーという題材を扱っていながらも比較的平凡な内容になってしまったのが残念。

「BODY OF PROOF」鑑賞


こないだ始まったABCの医療ドラマ。

ミーガン・ハントは世界的な神経学者であったが、交通事故に遭ったことで手に障害が残り、医師として現場で活動することができなくなってしまう。そこで彼女は検死官となり、殺人事件の被害者の遺体からさまざまな手がかりを見つけ出し、事件を解明していくのだった…というような話。主演はダナ・デラニーで、「ザ・ワイヤー」のソニア・ソーンとかセブン・オブ・ナインことジェリ・ライアンなんかも出てるぞ。

主人公が無愛想なんだけど天才的な医者という設定は「ハウス」そのまんま。体に障害があるというのも似てるな。でもこちらの主人公は疎遠になった娘とよりを戻そうとしてたりして、ちょっとウェットなところもあったりする。あとは「CSI」とか「クロッシング・ジョーダン」あたりの検死ドラマと似たり寄ったりで、目新しい所は何もなし。警察はマヌケな推理ばかりを繰り返して主人公の引き立て役になっているし、怪しそうな人物が実は犯人ではなかったという展開がCM3回分くらい繰り返されて最後に意外な犯人が逮捕されて終わり、というパターンは以前に何百回と見せられたぞ。こういうお決まりの展開が好きな人もいるのは承知してますけどね、俺の好きなドラマではないな。

55歳のオバさん(でも異様に若く見える。ジェリ・ライアンのほうが老けて見えるくらい)を主人公に持ってきたことは讃えるが、個人的にはどうでもいいや、といった感じの番組。