フォックスのラブコメディ「FEVER PITCH」を観た。主演はドリュー・バリモアとジミー・ファロンで、監督はピーター&ボビーのファレリー兄弟。「メリーに首ったけ」なんかのお下劣路線で名を馳せたファレリー兄弟にとっては異色のストレートなコメディになるのかもしれないが、彼らの作品はあまり観たことないのでよく分かりません。一応それなりに低俗なネタが出てきます。そして原作は「ハイ・フィデリティ」や「アバウト・ア・ボーイ」で知られる作家ニック・ホーンビィ。以前にもこの原作は「僕のプレミア・ライフ」なんて邦題で映画化されてるとか。原作は弱小サッカーチームであるアーセナルの勝敗に一喜一憂するファンの心理を描いたノンフィクションだったのに対し、映画は例によって舞台をアメリカに移し、弱小野球チームであるレッドソックスのファンを題材にしたフィクションになっている。これじゃ原作とまるで別物じゃないか?
なお原作はアーセナルが久しぶりに優勝するところで終わってるが、映画も撮影中にレッドソックスが何と86年ぶりに優勝してしまったため、急いで結末を書き換えることになったらしい。これに対し旧来のレッドソックスのファンからは「あざといソクスプロイテーションだ」という声が挙がってるとか。何だよ「ソクスプロイテーション」って。
バリモアが演じるのはキャリアウーマンのリンジー。彼女は教師のベン(ファロン)と知り合い、すぐに恋仲になるのものの、実はベンはレッドソックスのあまりにも熱狂的なファンだった。彼女はベンのために自分の仕事を犠牲にしてまで一緒に試合に行ったりしていたものの、レッドソックスのことしか眼中にない彼との間にやがて亀裂が生じてきて…というのが大まかなストーリー。昇進を目前にしたキャリアウーマンが30歳になったからって、恋人がいないことに突然オロオロして小汚い低所得の教師と付き合うようになるなんて絶対ウソだと思うけど、その点にだけ目をつむれば比較的よくまとまったラブコメディになっている。
ただ原作のファンにとっては、ベンよりもむしろリンジーの観点に沿ってストーリーが進んでいくことに不満を感じる。基本的にニック・ホーンビィって従来の小説界では軽視されていた「男のいじらしさ」を描くのが優れている作家で、個人的にも「ハイ・フィデリティ」に出てくる、好きな女の子のためにせっせとミックス・テープを作る主人公の姿にひどく共感した覚えがある。しかしこの映画ではリンジーが主人公なので、レッドソックスのファンたちが「理解不能なオタク」として描かれてしまっている。そのため原作の魅力である、スポーツやレコード・コレクションといった些細なことに愛情と情熱を注ぐ男性たちの心理描写がかなり薄れてしまっているのだ。「レッドソックスのファンであるということは何を意味するのか」についてベンが激白するシーンも一応あるものの、いかんせんファロンの演技が下手なので「小汚いオタクの裏に隠れた繊細な自分」を表現することに失敗している。対するバリモアの演技が非常に艶やかなので、男性陣の代弁者であるべきファロンが役立たずにしか見えないのが残念。
男性側の心情がしっかり描けていた「ハイ・フィデリティ」や「アバウト・ア・ボーイ」に比べれば明らかに劣る作品だけど、これはあくまでも原作を読んだことのある男性としての意見なので、普通にデート・ムービーとして観る分には悪い映画ではないんじゃないでしょうか。ラストのクライマックスには感動できたし。
ただし予告編はジョークのオチばらし&本編に入ってないシーン満載なので、出来れば予告編を見ないで劇場に行くことをお勧めします。
フリッツ・ラング監督のサイレント映画「月世界の女」をDVDで鑑賞する。以前に六本木の俳優座で上映してたのを観そびれたので。
NBCの人気ドラマ「ザ・ホワイトハウス」こと「WEST WING」のシーズン6最終話が今晩放送された。一時期ほどの人気はなくなったと言われる番組だが、今シーズンはアラン・アルダやジミー・スミッツといった俺好みの役者がレギュラーに加わり、次期大統領選へのレースも加熱してかなり見応えがあったと思う。今夜のエピソードでも民主党大会を舞台に、大統領候補に誰が選ばれるかを非常に緊迫したペースで描ききっていた。数の限られたエキストラを使いながら、何万もの人が集まる大会の様子を表現してたのには脱帽する。
とあるショッピング・モールのトイザらスに行ったら、「スター・ウォーズ:エピソード3」のフィギュアなどがもう発売されていた。前回の「エピソード2」のときは「右手の外れるアナキン人形」なんてものがあってネタバレに貢献していたけれど、今回はそういったものはないようだ。あるいは単に「エピソード3」がどういう結末を迎えるか皆がとっくに知っているだけかもしれない。「ダース・ベイダーになるアナキン人形」は平然と売られてます。