今回の「オニオン」のジョーク

「9/11テロ以降、空港でのセキュリティ管理が本当に向上したのか?検証するため、爆弾を機内に持ち込んで爆破してみます」という凄まじい極悪ネタ。しれっとした顔で「事故の遺族たちは政府の管理体制を批判しています」とか言ってるのもキツいジョークではある。9/11はここまで冗談にされるようになったのか。

「オニオン」と9/11といえば、テロのほんの2週間後くらいに恐れ知らずのパロディ記事を怒濤のごとく載せて話題になり、ピュリツァー賞ノミネートの噂もあったくらいなんだよね。Reporters Expose Airport Security Lapses By Blowing Up Plane

「イカとクジラ」鑑賞

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やっと観た。

いろんなところでこれをコメディと呼んでいるのを目にするけど、コメディじゃねえよなあ。どうにもならない陰気な状況において、いかに人々が「痛い」行動をとるかをきちんと描ききっているだけだろう。ジェフ・ダニエルズ演じる父親なんて実にリアリスティックにサイテーだし、じゃあ逆にローラ・リニーの母親はちゃんとしてるかというとそうでもなくて、次々に若い男とつきあってるばかりだし。脇役ながらウィリアム・ボールドウィン演じるテニスのコーチも実にサイテーでいい感じ。ローラ・リニーは薄幸な役柄が本当に身に付いてきましたね。あの甘ったるいラブコメ「ラブ・アクチュアリー」でも唯一恋が成就できないキャラだったのは伊達じゃないな。

両親に翻弄される2人の子供たちの振る舞いも実にリアル。離婚とまではいかなくても、親のケンカを2階で聞いてたような経験は誰にでもあるよね。高校でピンク・フロイドとかにハマって、「ブルー・ベルベット」を親の前で観て気まずい思いをするなんてとても他人事とは思えない。崩壊家庭において気が変になっていく弟の描写も見事。痛々しいけど。

気になった点を挙げるとすれば、ハンドカメラによる揺れ気味のカメラワークが邪魔だったかな。特に前半。変に臨場感を出す必要はないんだから、もっとどっしり構えて撮ればいいのに。あとアンナ・パキンの顔がティム・ロビンズに見えたのは俺だけでしょうか。

「偉大なるアンバーソン家の人々」鑑賞

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たまには古典も観るべえ、ということでオーソン・ウェルズの監督第2作「偉大なるアンバーソン家の人々」を鑑賞。

名家を舞台にした愛憎うずまく物語ということで昼メロ的な展開が多分にあるものの、一家の栄光と没落がドラマチックに描かれていてそれなりに面白い。惜しむらくは主人公のドラ息子があまりにも愚直すぎて、「市民ケーン」にあったような幅広い性格描写ができていないことか。それでも長廻しや引きのドリーショット、影を多用したライティングといった撮影のテクニックが1942年の段階で確立され、物語を語るにおいてきちんと使われているところなんかは興味深い。というか最近の映画における過度なBGMやカメラワークなんて殆どの場合ストーリーからむしろ観客の興味をそらす結果になっていると思うんだけどね。話の内容をしっかり伝えるにはむしろ映像が白黒のほうがいいんじゃないかと、ボグダノヴィッチ的なことも考えてしまうんだが。

ウェルズ作品なら次は「黒い罠」を観てみたいところです。

コーエン兄弟の傑作は?

「AVクラブ」でコーエン兄弟の特集をやってたんで、「彼らの最高傑作は「ミラーズ・クロッシング」。「ファーゴ」は過大評価されすぎ」って書き込んだら案の定「ファーゴ」のファンに叩かれている最中なのであります。悪かったな。

で個人的にコーエン兄弟の作品を好きな順に並べると以下のようになるかな。ただし最近の3作(「ディボース・ショウ」「レディキラーズ」「ノー・カントリー」)は観てません。

1、ミラーズ・クロッシング
2、ビッグ・リボウスキ
3、ブラッド・シンプル
4、赤ちゃん泥棒
5、バートン・フィンク
6、オー・ブラザー!
7、バーバー
8、ファーゴ
9、未来は今

どうでしょう?