「HOT IN CLEVELAND」鑑賞

俺はよく知らなかったんだけど、アメリカにベティ・ホワイトという88歳(!)になる大ベテランのコメディエンヌがおりまして、最近でもSNLの史上最高齢のホストを務めたり、「デイリーショー」に出演したりと精力的に活動している人なのですよ。そんな彼女がレギュラー出演することになった新シットコム。放送局はTV LAND…ってどこだそれ。なんか過去のシットコムを専門に流してるケーブル局らしい。

話の主人公となるのは売れない女優、離婚した作家、眉毛専門の美容師という40〜50代のオバさん3人組。憂さ晴らしにパリに行こうとした彼女たちは飛行機のトラブルでクリーブランドに到着し、そこで一夜を過ごすことに。そしたらそこは男性たちがみんな優しくて彼女たちのような中年にも色目を使ってくれるうえ、物価も安くてメシもうまいという最高の場所でした。すっかりクリーブランドが気に入った彼女たちはしばらく滞在しようと家を借りるものの、そこにはちょっとおかしな老婆(これがホワイト)が住んでいて…というような内容。

本国での評判は良くないみたいだけど、俺はけっこう楽しめたよ。ジョークのキレもいいし、80年代のシットコムの再放送と言われても十分通じるようなレトロさが逆に斬新に感じられたというか。若者のドタバタが中心の最近のシットコムと違い、主人公たちが年増だというのもいいんじゃないかと。雰囲気的には「フレイジャー」に似てたかな。ジェーン・リーヴスも出てるし。しかしクリーブランドって本当にこんないいところなのか?

俺もこのまま年とって、ティーンよりもオバさんの出てくる番組にどんどん共感してくようになってくのかな…。

「WARREN THE APE」鑑賞

MTVの新作シリーズ。結構前にフォックス(とIFC)でやってたコメディ「グレッグ・ザ・バニー」のスピンオフだそうな。

内容的には「グレッグ〜」と同じで、パペットたちと人間が普通に共存してる世界を舞台に、売れない俳優である猿人形のウォーレンのドタバタを描いたもの。演出とかは意外と手堅いんだが、「可愛いけど口の悪いパペット」とか「自分の才能のなさに気付いてない俳優」なんてネタはもう使い古されてるのよ。あとドキュメンタリー風の手ぶれカメラによるスタイルで撮影されてるけど、これって最近みんながやってるからいいかげん飽きてきたな。「グレッグ〜」にはセス・グリーンやユージン・レヴィといった役者が出てたのが取り柄だったが、こちらはせいぜい「GLEE」の新聞記者君くらいしか知ってる顔が出てないのもどうかと。

でもまあ何も考えずにダラッと観ることができる内容ではあるので、このほうが「The Hard Times of RJ Berger」よりもMTVの視聴者には向いてるのかも知れない。

「PRETTY LITTLE LIARS」鑑賞

LAのあちこちで宣伝をしていた夏の新作ドラマ。AMCの作品かと思ったらABCファミリーのシリーズだったんですね。

舞台となるのは片田舎の小さな町ローズウッド。そこでは主人公のアリアを含む5人の少女たちが友達付き合いをしていたが、仲間のなかでもリーダー格だったアリソンがある晩に失踪するという事件が起きる。それから1年たち、海外に行っていたアリアがローズウッドに戻ってきたところから話は始まる。アリソンの失踪のショックが癒えぬまま、普通の暮らしをしようとするアリアたちだったが、彼女ら4人は人に言えない秘密をそれぞれ抱えていた。そしてその秘密に関するメッセージが「A」という人物から彼女たちに届けられるようになる。その秘密を知っているのはアリソンだけだった。果たして「A」はアリソンなのか?そんな矢先、アリソンの遺体が発見されたというニュースが伝えられる…というような話。

ライトノベルが原作らしいんだけど、そもそもそのラノベはTVシリーズ化を念頭に書かれたものらしくて、明らかに「デスパレートな妻たち」とか「ゴシップ・ガール」とかを意識したような内容になっている。カメラワークとかはしっかりしているし、ちゃんとした演出があれば手堅いミステリータッチの作品になったかもしれないが、バーでねんごろな仲になった男が自分の学校の先生だったとか、ビッチな姉の恋人に横恋慕する妹といったクリーシェが満載になっていて、ありきたりなティーン作品になっているのが残念なところ。役者の演技は下手だし、音楽の使い方は大げさだし、使われている歌も適当に流行ってるものを揃えただけという感じが強い。まあABCファミリーの視聴者層が求めている番組ってこの程度のものかもしれないが、もうちょっと工夫してもよかったんじゃないですかね。

それにしても登場人物がみんないい家住んでるんだよなあ。でっかいキッチンつきの。

「アイアンマン2」鑑賞

やはりウォーマシンだよな。ソーのベータレイ・ビル同様に主役よりもカッコ良いデザインかと。アクション大作として楽しめる作品だし、監督も役者も手慣れた感じで作ってるようなところがあって安心して観てられる作品かと。ただし個人的には「1」のほうが面白かったかな。その理由を2つ挙げると:

・悪役(ジャスティン・ハマーとウィップラッシュ)がどちらもあまり強くないうえ、スタークの知らないところで仲違いとかしてるので緊迫感が感じられない。
・スカーレット・ヨハンソンのブラック・ウィドーが不要。最後のアクション・シーンとかは話の流れを散漫なものにしてしまっている。

というところかな。ちょっとストーリーが盛り上がりに欠けてたかと。前半でウィップラッシュに完膚なきまでにやられて、特訓して最後にやっつけるというベタな展開でも良かったと思うんだけどな。スーパーヒーロー映画って、オリジン話に時間を割く必要のない続編のほうが面白くなると思ってたんだけど(「スパイダーマン2」や「ダークナイト」)、「アイアンマン」に関しては「1」のスーツを作り上げていくまでの話が面白すぎたんだろうか。あと今回からジム・ローズを演じるドン・チードルはテレンス・ハワードよりも優れた役者だと思うけど、「ホテル・ルワンダ」あたりのイメージが強いのか物静かな印象がして、戦う軍人の役は似合ってなかったかな。

とまあ否定的な感想を述べたけど、それでも良く出来た映画であることは間違いないですよ。劇場で観る価値は十分あるかと。ちなみにロナート・ダウニー・Jr.は過去のドラッグ歴から日本への入国が禁止されてるらしいが(「1」の来日宣伝のときに引っかかって舞台挨拶のあと強制送還されたらしい)、いずれ「3」も製作されるだろうし、税関ももうちょっと寛容になってもいいと思うんだけどね。

「The Hard Times of RJ Berger」鑑賞

音楽と無縁になって久しいMTVによる新作ドラマ。MTVがリアリティーショーでなく脚本つきのドラマやるのって初めてだっけ?昔は「イーオン・フラックス」とか「THE MAXX」とかのアニメをよく観てたんだけどな。

主人公のRJ君はさえないオタクの高校生で、学校ではろくに彼女もできずジョックたちにいじめられる日々を送っていた。そんなある日、たまたま出場させられたバスケの試合でパンツがずり落ちてしまい、じつは彼は非常に大きなイチモツの持ち主であることが皆の前で明らかになってしまい…というような話。

こういう設定だと「ポーキーズ」みたいなお色気コメディとか、日本のエロマンガみたいな「全校の女をモノにしてやるぜ!」的な展開が期待できそうなものだけど、そんなことはなくて単なるオタクの高校生ドラマになっている点がものすごく物足りない。「高慢と偏見とゾンビ」の作家が脚本を書いてるようだけど、全然面白くないんですよ。出演者の演技は下手だし、主人公の友人が口の達者なデブというのも典型的すぎるし、日本人の生徒の描写も実にステレオタイプ的で不快。

せめて主人公がデカチンであることで校内のヒエラルキーが一変する、くらいの展開にしてくれないと作品として面白くならないんじゃないですかね。こういうの観るといかに「GLEE」が高校の日陰者たちを巧く描いてるかがよく分かるな。あと主人公がデカチンのドラマだったらHBOの「HUNG」のほうが良い出来なんじゃないでしょうか(未見だけど)。製作や監督をジェフリー・カッツェンバーグの息子が手がけてるので親のコネで少しは長続きするかもしれないが、とりあえず観る価値のない作品。

あとこれ観てていちばん不思議に思ったのが、いまのMTVを観てる人たちって何歳くらいなの?俺らくらいの年齢層がよくMTV世代と言われたものだけど、MTVで高校生ドラマを放送することって意味があるのかね?