「THE FOSTERS」鑑賞


ABCファミリーの新作シリーズ。新作も結構ですが「Bunheads」のシーズン2を早く決定してください。

名前の通り里親(foster family)の一家の生活を描いたもので、校長先生のレナ・フォスターと警官のステフはレズビアンの夫婦で、ステフの実の息子のほかにヘスースとマリアナという2人のティーンたちを里子にして育てていた。さらにレナは鑑別所から出てきたキャリーという少女に出会い、不憫に感じた彼女はキャリーも家に迎えることにする。さらにキャリーには別の里親に虐待を受けている弟がいることが分かり、レナたちは彼も一家に迎えることに。こうして一気に7人の大家族となったフォスター家の物語が始まるのでした…という設定。

内容は「The Middleman」とか「Huge」みたいにエッジの効いたものではなく、比較的穏健な、いかにもABCファミリー的な家族ドラマになっているのかな。ただ特筆すべきは里親がレズビアン(しかも白人と黒人)のカップルであるということで、パット・ロバートソンの番組を抱えているチャンネルにしてはABCファミリーってここらへんは先駆的だよね。15年くらい前にはABCでゲイをテーマにした「Ellen」が打ち切りになったことを考えると、ここ10年くらいのあいだにアメリカのテレビってLGBTにすごく寛容的になったような気がするのですが、どうでしょうか。

とはいえ政治的に正しいのは結構ですが、内容は普通の家族ドラマといった感じでそんなに面白いものではないかな。あと気になったのは照明の使い方で、画面が暗いというよりも、なんか人物の顔にきちんと光が当たってないような?おかげで全体的に話が陰気くさくなっているような気がする。あまり自分が好きなタイプの番組ではないですが、似たような設定の「スイッチ~運命のいたずら」なんかは人気があるようだし、今後の展開次第ではブレークする番組かも。

「GRACELAND」鑑賞


アメリカでは地上波ネットワークが微妙な新番組を今になって放送開始している一方で、ケーブル局では鳴り物入りの新作を夏に向けていろいろ出していっているのであります。これは「ホワイトカラー」のクリエーターによるUSAネットワークの新シリーズ。

舞台となるのは南カリフォルニアのビーチに面した「グレイスランド」という建物で、そこは麻薬王のものだったのを押収して以来、FBIとDEA(麻薬取締局)とICE(移民関税執行局)の3つの組織のエージェントたちが住む場所として用いられていた。そしてFBIの新人エージェントであるマイクは、訓練も兼ねてグレイスランドへと送られてくる。ベテランのエージェントであるポール・ブリッグスのもとで麻薬組織への潜入捜査などを行うマイクだったが、彼には隠された任務が与えられていて…というプロット。

カリフォルニアの陽光のなかでエージェントたちがサーフィンしてプカプカと波に浮いている光景はいかにもUSAネットワークの番組だなあ、という気もするけれど潜入捜査をしてウソをつきまくり、ロシアンマフィアたちと駆け引きをする展開などはスリルがあって結構面白いですよ。あとは複数の男女が同居するという設定が刑事ドラマとしては目新しいのではないかな。

出演者は俺があまり知らない人たちでして、ダニエル・サンジャタとかアーロン・トヴェイトとか。FBIの上司役でコートニー・B・ヴァンスがゲスト出演していた。

同じUSAネットワークの「バーン・ノーティス」に比べるとアクションが少なく、「ホワイトカラー」ほど気楽に観られる内容ではないけれど、今後の展開によっては大きく人気が出る可能性を持った番組ではないでしょうか。

「SAVE ME」鑑賞


NBCの新シットコム…といってもおれ1年前にこのパイロットを観ているわけですが。

どうもこの時期に始まる地上波のシリーズって、ネットワークがミッドシーズン用に製作を発注しといたんだけど、なんか良いタイミングで開始できなくて、そのまま消化試合的に初夏にさっさと放送しておしまい、という傾向が強まってきているような?こないだの「FAMILY TOOLS」も速攻で打ち切られてJKシモンズは別のシットコムに出演が決まってるし。

もちろんネットワークには彼らなりの動機があるのでしょうが、例えば「THE OFFICE」なぞはミッドシーズンから始まって辛抱強くシーズン2も放送したおかげでああやって大成功したわけだし、もうちょっと自分のところの番組を大切にしても良いと思うんですけどね。こないだフォックスで始まった「The Goodwin Games」なんかかなり面白いと個人的には思ってるのだけど。ちなみにこの「SAVE ME」も放送開始から死亡フラグが立ってると見なされてるようです。

主人公のベスはごく普通の主婦だったが、生真面目な性格ゆえに娘や近所の主婦たちには敬遠され、おまけに夫は浮気をして離婚を持ちかけようとしている有様だった。そんな状況に嫌気がさした彼女は酔っぱらってヤケ食いをしたあげく、サンドイッチを喉に詰まらせて卒倒してしまう。しかしその臨死体験が彼女を変え、「神様」の声が直接聞こえることになってしまう。彼女はこの力を使って、周囲の人の心を読んだりして皆のためになろうとするものの、それがさらに騒動を巻き起こして…というプロット。

臨死体験をしたあとに頭のネジが緩んだような言動をするベスを演じるのがアン・ヘッシュ。現実世界でも頭のネジが緩んだような言動をしてタブロイドを賑わせてる女優なのでその演技はかなり真に迫っていて良いのですが、なんか役者の私生活を利用してるみたいで気まずい感じもするな。そんな彼女に翻弄される夫を演じるのがマイケル・ランデス。何度も言うが彼が出ていたSFドラマ「Special Unit 2」は知られざる傑作なのでyoutubeできちんと視聴するように。

最近のシットコムのなかではキャラも立ってるし、不快なジョークもなくてそんなに悪い作品だとは思わないんだけどね。主役もよく知られてるんだから、ちゃんと宣伝してあげればそこそこは人気出そうなものなんだけど、やはりすぐ打ち切られるのかなあ。

「スター・トレック イントゥ・ダークネス」鑑賞


こないだアメリカで観てきてしまったのだよ。ネタバレにならない範囲で感想をいくつか:

・例によってJJエイブラムスの「宿題きちんとやりました」的な作品。でもまあ最初から最後までアクションの連続で、観てて飽きさせない内容になっていることは評価しておく。深いテーマも無くアクションに頼っているのを批判する人もいるようだけど、STは映画版はいつもそんな調子だったので大目に見よう。

・3Dは毎度ながら意味無し。しかし3Dで浮かぶレンズフレアだけはうざい。あれ本当にうざい。

・ストーリーは過去の劇場版のオマージュというかアレンジなので、あれを観てないと十分に楽しめないかも。

・ノエル・クラークは完全なカメオ出演。セリフもろくに無かったような。ブルース・グリーンウッドもチョイ役。

・アントン・イェルチンもあまり見せ場がないが、俺あいつ嫌いだからいいや。代わりにサイモン・ペグ演じるスコッティが大活躍!

・ジョン・チョウはジョージ・タケイの話し方を真似てるんだが、似合ってないよな。

・スポック、そいつに頼るなよ。

・クリンゴンは別に出さなくても良かったんじゃね?

・セクション31について言及されていた?

・宇宙大作戦のくせに地球とその周辺での展開に終始して、あまりセンス・オブ・ワンダーが感じられないのはちょっとね。というか宇宙艦隊の地球防衛網はザルか?DS9で地球が攻撃されたときはもっと立派に防衛してたぞ。

・最後にネタバレをひとつ。リンク先は音が出るよ。

前作では時間改変までやって過去と決別したかと思いきや、過去作の焼き直しになってしまっているのはどうなんだろうね。そりゃオールドファンは嬉しいだろうけどさ、まさか次回作ではタイムトラベルしてクジラを救ったりはしないだろうな?

まあでもこれでエイブラムスはSTと手を切るだろうから、あとはジョー・ジョンストンとかブラッド・バードみたいな冒険活劇を撮れる人が監督をすると面白いんじゃないだろうか。個人的にはやはりTVシリーズ化してくれると嬉しいんだけどね。

機内で観た映画

先週いっぱい海外に行ってまして、飛行機のなかで観た映画・番組の感想を簡単にざっと:

・「ヘンゼル&グレーテル」
完全にB級作品だと割り切って観れば、さほど悪くはない。ジェマ・アタートン可愛いし。でも主人公たちは武器を落としすぎ。ストラップつけとけよ!そして最強の武器がスコップだとは。敵の魔女は特殊メークがきついので別にファムケ・ヤンセンが演じる必要もなかったと思う。

・「Rise of the Guardians」
日本語吹替を作ってるじゃん!なら日本公開すればいいのに。ストーリー自体は比較的凡庸なので、「ヒックとドラゴン」や「メガマインド」などと比べると色褪せてるのは否めない。もっと大きな画面で観れば映像美などが堪能できたのかもしれないけどね。

・「バレット」
着陸前だったので少しはしょって観た。巨匠ウォルター・ヒル作品といえども、やっつけ仕事だなあという感じ。主人公のナレーションが入ると、どうも減点したくなるのよね。特にそれがスタローンだったりすると。軽薄なスーツ野郎を演じるクリスチャン・スレーターだけは本人そのままでやけに適役であったことを記しておく。

・「Phil Spector」
HBOのTVムービー。アル・パチーノ演じるフィル・スペクターと、彼の弁護士を演じるヘレン・ミレンによる密室劇が話の大半を占めるあたりは、いかにもデビッド・マメット作品というべきか。ただし現実の展開がどうしてもああなので、ものすごく煮え切らない終わり方をしてしまっている。

・「ダイ・ハード/ラスト・デイ」
いかにも第5作目のアクション映画、という内容。もはや「ダイ・ハード」を名乗る必要はないのでは。画面づくりも暗くて陰気くさいし。

・「シュガー・ラッシュ」
ゲームの世界の規則が文字通り「機械じかけの神」っぽいというか、なんか都合良く出来てんなあ、という気がしなくもないが、それでも主人公がやる気を取り戻していく様は良かったよ。性格ひん曲がった少女の声をサラ・シルバーマンがあててるのが素晴しすぎる。

・「HOUSE OF CARDS」
日本でも今度やるネットフリックスのドラマ。ケヴィン・スペイシーは嫌いではないが、これもやはり主人公のナレーションが入り、第4の壁を破って視聴者に話しかけてきたりするとすごく鼻につくな。スクープを狙う新人女性記者とか、冷淡で野心的な政治家の妻といったキャラも陳腐すぎる。でもこれクリステン・コノリーが出てるのか。