「IN TREATMENT」鑑賞

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HBOの新作ドラマ「IN TREATMENT」がビデオキャストとして無料公開されてた。しかも最初の4話が視聴可能という気前の良さ。これはイスラエルのドラマを元にしたもので、月曜から金曜まで毎日放送されるというソープオペラ形式の放送形態をとっているのが極めて珍しい。

話の主人公はガブリエル・バーン演じるセラピストのポールで、月曜には浮気をした女性、火曜にはイラク帰りの兵士、水曜にはティーンの体操選手、といったように決まったスケジュールでポールが毎週同じクライアントと会話をしていき、そこからいろいろ物語が展開していくらしい。毎週金曜にはポール自身が別のセラピストのセッションを受ける、というヒネりも加えられている。

ポールの自宅兼事務所において彼とクライアントの会話が繰り広げられる、密室劇のようなスタイルをとっているがテンションは全体的に低めで、クライアントの告白する悩みをポールが淡々と聞いていくという内容になっている。

ガブリエル・バーンは俺の大好きな俳優で、彼がクールに構えてクライアントの悩みを解消しようとする姿はとてもカッコいいものの、いかんせんアメリカのセラピスト至上主義というのがどうも理解できない(というか嫌い)なので、あまり面白い作品だとは思わなかったな。少なくとも毎日観ようという気にはならない。

レス・クレイプール監督作品

プライマスのレス・クレイプールが監督した映画が今度公開されるらしいぞ。「スパイナル・タップ」のようなロックバンドのモキュメンタリーらしいが、ナショナル・ランプーンものなのでトレーラーからしてなんかツマらなそうである。ボブ・ウィアーってまだ生きてたのか。

「BLACK DOSSIER」読書メモ その5

久しぶりにちょっと更新。

・「黒本」の中身の続き。「THE CRAZY WIDE FOREVER」なる小説の引用が数ページ続く。これはジャック・ケルアックの「路上」(オン・ザ・ロード)の主人公サル・パラダイスが書いたものという設定なんだが、全編がビートニク調の話し言葉で埋め尽くされ、文の区切りがほとんどない「意識の流れ」的な文体になっていて読みづらいったらありゃしない。おそらく「BLACK DOSSIER」の中でもいちばん読みづらい文章なんじゃないかな。いったい何が書かれているのかを理解するのは至難の業なんだが、とりあえず例によってクトゥルフ神話の怪物が言及されるほか、ウィリアム・バロウズの小説の登場人物や、ダシール・ハメットの探偵コンチネンタル・オプについても言及されてるみたい。そして「路上」のもう一人の重要人物であるディーン・モリアーティは実はあのモリアーティ教授の孫ということになっており、アメリカに来ていたミナ&クォーターメインと一緒に、フー・マンチューの孫であるドクター・サックスと戦う…というのが話の山場らしい。「路上」の原書って読んだことないけど、こんなに読みにくい文体で書かれてるのか?
・ちなみにこの小説のあいだには8ページのティファナ・バイブルが挟まれている。「1984」の工場を舞台に、横の女性労働者に発情した主人公(ウィンストン・スミスか?)がベルトコンベアの上で彼女とヤるものの、特高に捕まって101号室送りになる…という純然たるポルノ。こういうのが何の脈絡もなく挟まれているのが最近のムーア作品の特徴ではある。
・「黒本」の最後のページ。”M”のレポートという形式をとっていて、アメリカに渡ってイギリス政府からの連絡を絶ったミナ&クォーターメインに対する断絶的な情報が語られる。1950年代のミナたちはアメリカで登場していたスーパーヒーローたちに出会っていたらしい。こういう形であれ、ムーアがメインストリームのスーパーヒーローについて言及するのはちょっと珍しいかな。

「黒本」の中身の紹介はこれで終わり。物語はいよいよ終盤へ!

「BREAKING BAD」鑑賞

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俺も最近まで存在を知らなかったんだが、アメリカにはAMCなる有料チャンネルがあって、もともとはクラシック映画などをチマチマと流している局だったのが、50年代の広告業界を舞台にしたオリジナル・シリーズ「MAD MEN」が昨年高い評価を得たことから急に注目を集めることになったらしい。そしてそのAMCの新作シリーズ「BREAKING BAD」がiTunesストアで売られてたので早速入手。

主人公のウォルター・ホワイトは、ニューメキシコの高校で長らく化学を教えているさえない教師。妊娠中の妻と脳性麻痺の息子を抱え、家計を助けるために洗車場でバイトするというしがない生活を送っていた。そんなある日、胸に異常を感じて卒倒したウォルターは、タバコを吸ったこともない自分が末期の肺がんに冒されていることを知る。心のなかで何かが吹っ切れるウォルター。彼は麻薬取締官の義弟に頼んで見せてもらった麻薬取り締まりの現場から、近所で有名な売人がかつての教え子ジェシーであることを知り、ジェシーに意外な提案を持ちかける:自分が麻薬(アンフェミン)を精製し、それをジェシーが売りさばくというのだ。そこで2人は中古のキャンピングカーを購入し、それを移動式ラボとして砂漠の真ん中でアンフェタミンの精製にとりかかるが…というのが第1話のプロット。

基本的には犯罪ものというよりブラックなコメディで、妻子に金を残すため麻薬ビジネスに手を染める中年男の悲喜劇がうまく描かれている。似たような設定のドラマに、住宅地でマリファナの売人をやってる主婦が主人公の「WEEDS」があるが、あれよりもっと滑稽な感じ。不治の病を知って吹っ切れる中年男というプロットは決して新しいものではないものの、「服が薬品臭くなるから」ということでパンツ一丁になり、化学の知識を生かしてめちゃくちゃ高純度のアンフェタミンを精製してしまうウォルターの姿は非常に痛快。ウォルターを演じるブライアン・クランストンは「マルコム in the Middle」のパパさんを演じてた人だが、あのときの脳天気なイメージをかなぐり捨てて、ウォルターの悲哀を熱演している。

とにかく全体的にクオリティが非常に高いドラマ。アメリカではマイナーなケーブル局でもこれだけのものが作れてしまうのに、どうして日本のテレビ局は凡庸なものしか作れないんですかね。