「アレステッド・ディベロップメント」暫定最終回


いま現在この世で一番面白いコメディ番組「ARRESTED DEVELOPMENT」がこんど日本でも放送されるそうだけど、アメリカではこないだ最終回(?)が2時間にわたって放送された。といっても別に2時間スペシャルとかじゃなく、単に残りのエピソードを立て続けに4本流しただけで、しかもトリノ五輪の開幕式の裏番組として(涙)。この番組がいかにフォックスに軽んじられてるかがよく分かりますね。 いちおうフォックスはまだ正式な打ち切りを発表してないけど、製作本数が大幅に減らされたことや、視聴率が決して高くないことを考えると、シーズン4がフォックスで放送されることはまずないだろう。不幸中の幸いとしては、これが最終シーズンになることを製作側が知り、どうにか話をまとめられる時間があったことで、特にこないだ放送された4話では最終回に向けて怒濤のように話が進行していった。もともと話の濃さと暴走っぷりが半端じゃない番組だったけど、もうこの4話では禁断の愛あり、出生の秘密の暴露あり、イラク旅行あり、意外な黒幕の登場あり(これすげえ笑った)と、もう凄いのなんのって。また番組の特徴である有名人のカメオ出演も、ジェフ・ガーリンやリチャード・ベルザー、そしてもちろんロン・ハワードなどと豪華。ジャッジ・ラインホルドを使って「ジャッジ・ジュディ」のパクリ番組を作る、なんてとってもベタなことを本当にやってしまうのも見事。他の凡庸なシットコムなら1シーズンでやりそうなことを4話でやってしまうものだから、全てのジョークを理解するのにかなり集中力が必要だったのも確かだけど。あまりにも凝りすぎた番組だから、視聴率を稼げなかったんだろうなあ。

打ち切りが正式に決まれば、ショウタイムがシーズン4を製作・放送するという噂もずいぶん出てるけど、どうなるんだろう。最高の番組とはいえ、ここまで立派に最終回をやってしまうと、もうあとは皆の思い出に残しときましょうよ、と少し思わずにはいられないのです。

アメコミ・最近のお勧め

最近読んだアメコミの中で、非常によかったものを3つほど紹介…SGT. ROCK: THE PROPHECY #1 (DC)
アメコミ界の生ける伝説のひとりジョー・キューバートが40年以上にわたって描き続けている、第二次大戦を舞台にしたサージェント・ロックとイージー・カンパニーの冒険の最新作。真夜中のパラシュート降下から市街地での戦車との戦闘にいたるまで、もう構図の取り方や雰囲気の醸し出し方がハンパじゃなく見事。全6巻のうちの#1ということでストーリーは比較的シンプルなものの、これからの展開がとても期待できる内容になっている。大ベテランが手慣れたキャラクターを扱えば、ここまで立派なものが出来るんだよという好例。キューバート先生、今度はぜひ「ENEMY ACE」を再びやってください。

PLASTIC MAN #20 (DC)
天才アーティスト、カイル・ベイカーがプラスティック・マンを手がけたシリーズの最新刊。ベイカーの作品(特にカラーのやつ)はどれも大好きなのだけど、この話もシリアスあり、スラップスティックあり、カリカチュアありといろんな要素が凝縮された、非常に楽しいものになっている。ドタバタ活劇でありながら、現在のDCのコンティニュイティー(「Infinite Crisis」周りのやつ)をしっかり押さえているのも面白い。この人のアートは眺めてるだけで楽しいですね。しかしこれだけ優れた作品でありながら、売れ行きは決してよくなかったらしく、この#20でシリーズは終わってしまうんだとか。なんてこった。賞とかもいっぱい穫ってんのに。残念。

NEXTWAVE #1 (MARVEL)
作ウォーレン・エリス、画スチュアート・イモネン。これすげー楽しい。マシンマンやフォトンといったマーヴェルのC級ヒーローたちがHATEという組織に加わって世界への脅威と戦うという内容なんだけど、話はもう完全にコメディ。エリスが担当してた頃の「AUTHORITY」をさらにブラックにしたというか、スーパーヒーローたちを絶妙にパロっているのがとにかく笑える。ここ最近のエリスってなんか不調になった感じがあったけど(「アイアンマン」とか)、やっぱり才能あるライターなんだと再確認。今になって思えば、「AUTHORITY」もエリスが抜けて、マーク・ミラーが担当するようになってからつまらなくなってったんだよな…。イモネンも以前はアダム・ヒューズのような柔らかい絵を描く人という印象があったけど、今回は結構トンガった感じのアートをこなし、話にうまくマッチさせている。早く次が読みたい。

「IT Crowd」鑑賞


イギリスはチャンネル4の新作コメディ番組「IT Crowd」を観る。脚本&監督が「ファーザー・テッド」のグラハム・リネハン、プロデューサーが「ザ・オフィス」のアッシュ・アタラで、おまけにあの「BRASS EYE」のクリス・モリスが出演しているときては、こりゃ観ないわけにはいかないって。 タイトルから分かるように、話の主人公はコンピューター・ナード(おたく)たち。ロイとモスの2人は典型的なナードで、オフィスビルの地下の薄汚い部屋に居座り、上層階の社員たちのコンピューターのサポートをしながらダラダラと毎日を過ごしていた。ところがある日、コンピューターのことなんて全く分からないジェンという女性が彼らの上司として加わることになって…というのが第1話のおもなストーリー。

コンピューターおたくが主人公の話なんて、とっても90年代的な感じがするんだけど、あまりコンピューターを中心に話が進むわけではなく、むしろオフィスの日常を舞台にしたスラップスティック・コメディになっている。でもコメディのスタイルとしては前衛的だった「ザ・オフィス」よりも、より古典的な「ファーザー・テッド」に近いものがあるかな。主人公たちが島流し(この場合は地下室)に遭っているところなんて「ファーザー・テッド」みたいだし、ロイ(ツッコミ)とモス(ボケ)の関係も、テッドとドゥーガルのそれに似ているかと。

ちなみに会社の社長を演じるのがクリス・モリス。威圧的ですぐ社員をクビにするものの、頭のネジがどこか緩んでいるキャラクターを絶妙に演じている。やっぱりこの人がいるだけで話がグンと面白くなるような気がする。また「BRASS EYE」やってくんないかなあ。

まだ始まったばかりなので脚本がこなれてない部分もあるし、役者の演技も少し大げさなような気がするけど、第2話のキレっぷり(日本人の通訳が最高!)から判断するに、結構期待の持てるシリーズになりそうだ。「ザ・オフィス」や「ファーザー・テッド」に匹敵する番組になれるかな?

あとロイたちのいる部屋には、ジミー・コリガン人形やジム・ウッドリングのポスター、「空飛ぶスパゲッティ怪獣」の絵なんかがいろいろ飾ってあって楽しい。でもナードってもっとメインストリームなコミックを読みそうな気がするけど、どうなんだろう。どうでもいいことですが。

ARTIST SETH FISHER DIES

アメコミの若手アーティスト、セス・フィッシャーが他界した。 彼の手がけた作品を読んだことは無かったんだけど、「GREEN LANTERN: WILLWORLD」のアートをいくつか見たときに、ものすごく独特なタッチをもったアーティストだな、と強い印象を受けた覚えがある。

訃報を読むまで知らなかったんだけど、彼は実は日本に住んでいて、奥さんも日本人なんだとか。そういえば「VERTIGO POP: TOKYO」という作品について、「日本ではビジュアル系なるものが流行っていて…」なんてことを以前書いてたっけ。ちなみに大阪の7階建てのクラブから転落死したらしい。うーん。

日本在住のアメコミ・アーティストというのは貴重な存在になりえたろうに、その早すぎる死が惜しまれる。彼の公式サイトはこちら。合掌。