Festival Express

「Festival Express」を観に行く。1970年代にグレイトフル・デッドやジャニス・ジョプリンといったミュージシャンが、カナダを鉄道で横断しながらコンサートを開いていった光景を追ったドキュメンタリー。トロントから次の街へ行くのに2日かかってるところなどに、カナダのデカさを感じてしまう。撮影のレベルやコンサートの規模は「ウッドストック」などに比べれば大したことはないのだけど、それでも貴重な映像が拝める作品ではある。個人的にはサラリーマンのオヤジのような格好をしたバディ・ガイとか、ビレッジ・ピープルの原型のようなシャナナとかが印象に残っている。みんな登場してから1曲だけ演奏して引っ込んでるような気がするのは、単に編集のせいだろうか。ちなみに当時のバンドマンはみんなヒゲが伸び過ぎ。ザ・バンドなんてヒゲのかたまりのようだった。あとジャニスの声はやっぱりすごいっすね。スーパーコピー

コンサート以外には移動中の列車の映像も収められているが、1日中酒飲んでドラムセットまで広げてジャムセッションをやってるのが面白かった。ミュージシャンにありがちなエゴのみせつけもなく、和気あいあいと演奏してるのがいいね。

映画館の観客は予想どおり年配の人が多かったが、実際にトロントでやったコンサートに行った人とかもいるのかもしれない。ジャニスが出るたびに拍手してる人がいたりして、何か楽しかった。

ジム

今日もあまりすることがないので、近くのレクリエーションセンターにあるジムを見に行く。民営でやっているようなジムの設備ほどではないが、ウェイトリフティングの機械などが置いてあって、それなりの運動はできそうだ。これで会員費が3ヵ月30ドルという破格の安さであることに驚く。ウェアを揃えたらさっそく使ってみよう。仕事はないのに、それ以外の生活要素がどんどん満たされていくような気がする。これでいいんだろうか。

寒くなった

手袋と帽子がないと外を歩くのがつらい気候になってきた。11月でこれだから、2月とかは相当厳しいんだろう。

朝っぱらに電話があり、以前に申請していた政府運営のESL(英会話)教室への参加はワーキングホリデーのビザでは認められないとのこと。まあ難民や移民用の教室だから、仕方がないといえば仕方ない。1時間6ドル払えば受講してもいいとのことだから、民営の教室よりずっと安いのだが。

昼を近くの中華料理屋でとってから就職のワークショップに向かう。しかし今日のクラスは午前にあったことをすっかり忘れていた。電話のせいで朝早くに起きてたのに何ってこった。仕方ないのでダウンタウンのアウトドアショップを見に行く。5ドル払って会員にならないと買い物ができない店だが、衣服などはずいぶん安い。冬ものはここで揃えよう。カナダのアウトドアショップだけあって、ロッククライミングやカヌーの用具など、かなり専門的なものがあって見てるだけでも楽しい。もうちょっと早く来ていれば、キャンプに絶好の季節だったのになあ。

映画スタジオ観察

トロントに来て住むところも見つかったし、滞在に必要な申請も行ったわけで、だんだんやることがなくなってヒマになってきた。仕事もそう簡単には見つからないだろうし。かといって一日中家にいるのも何なので、トロント南部にある映画スタジオ地区を見に行く。

場所はダウンタウンから南東に位置する所で、どうも大きなスタジオ群が2つはあるらしい。当然のことながらどのスタジオも塀に囲まれてガードされているので詳細は分からなかったが、かなり大きなサウンドステージが建っているのが遠目に見えた。あの中でセットが組み立てられ、撮影が行われているのだろう。聞いた話では現在でも別のスタジオの建設が進められているらしい。前にも書いたようにカナダの映画産業はややスランプに陥っているわけだが、それでも一つの産業として政府がスタジオ建設に助成金を出しているそうな。日本とはそこらへんが違うよな。

スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー

アメリカでの評判(と興行成績)がイマイチだったので、あまり期待しないで観にいったらとても良く出来た作品だった。セットデザインとかライティングとかが徹底的に40年代くらいの映画のスタイル(特にフライシャー兄弟の「スーパーマン」のアニメ)にこだわってるので、それで好き嫌いがはっきり別れるところもあるだろうが、個人的にはアール・デコのデザインは好きなのでかなりツボにはまった。

ストーリーは冒険活劇の王道を行くような内容だけど、「Mr.インクレディブル」同様に、変なヒネリを入れたりせずに直球勝負をしているので素直に楽しめるんじゃないだろうか。途中で飽きさせないくらいの展開とアクションは十分あるし、思わずニヤリとさせられる場面が多いのも嬉しい。ゴジラが一瞬出てくるのには笑ったし、アンジェリーナ・ジョリーの役はニック・フューリーのパロディでしょ?ラストの痛快な台詞も最高だった。

文句を挙げるとすれば役者の演技で、ジュード・ロウはやけに低い声で話しているのでセリフが聞きづらかったし、グウィネス・パルトロウに至ってはまるで死んだ魚のよう。「自立した強い女性」をイメージしているのはいいけど、40年代SF映画のヒロインならもっと叫んだり微笑んだりしなきゃ。ちなみにアンジェリーナ・ジョリーは10分くらいしか登場せず(インパクトが強いからいいけど)、ジョヴァンニ・リビシは相変わらず永遠の脇役に徹しています。

興行成績が不振だったのと、プロデューサー夫妻(ジュード・ロウとサディー・フロスト)が離婚したことを考えると続編が作られることはまずなさそうだけど、それこそパルプ小説みたいに続編がどんどん作られたら面白そうなのに。

ちなみに映画に登場する空飛ぶロボットを、宮崎駿のアニメのパクリだと非難する人がアメリカでも日本でもいるみたいだが、もともとあれは前述のスーパーマンに登場したロボットを宮崎駿が転用したものなので、誤解なきよう。