「SCOTLAND, PA」鑑賞

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わたくし大学生の頃は英文学を専修しておりまして、自分が読んだ本について語れるようなゼミもないまま、英語の教科書を1文ずつ生徒たちがひたすら訳していくクラスを50くらい履修させられるという、それはそれはヒドい大学だったのですが、2年生のころには「英文学の巨匠について学ばんかい!」というわけでシェイクスピアに関するクラスを強制的にとらされたんだが、このときの先生というのが平気で10分くらい遅刻してきて、その代わり授業の終わりを15分くらい遅らせるようなボンクラでさ、そのくせ「オメーらシェイクスピアのことなんて知らねーだろ」みたいな口調で授業をしやがんの。ああ、イヤな学生時代だったなあ。これらロクでもない授業と最低の失恋が俺の大学の思い出です。

で話をシェイクスピアに戻すと、多くの人がそうだと思うけど、学校で無理矢理読まされる作家(森鴎外とか)って概してものすごくツマラなく感じられてしまうわけで、おかげで俺は今になっても「ロミオとジュリエット」とか「リア王」とかを読んだことがなくて、まっとうに読んだシェイクスピア作品って「ジュリアス・シーザー」くらいかもしれない。

そんなわけですが、ふとしたきっかけで観た、「マクベス」をベースにしたダーク・コメディ「SCOTLAND, PA」は結構楽しめた。題名のとおり舞台となるのはペンシルバニア州にあるスコットランドという田舎町で、時代設定は1975年。主人公のジョー・マックベス(ジェームズ・レグロス)は町の小さなファストフード・レストランで働くしがない男。彼は遊園地で奇妙な3人のヒッピーから占いを告げられたあと、野心家の妻(モーラ・ティアニー)にせがまれて、レストランのオーナーであるダンカンを殺害して店を乗っ取ってしまう。ダンカン殺しの罪は彼の息子マルコムにきせられ、マックベス夫妻による店の経営は大成功して万事が順調に見えたが、そこに風変わりだが敏腕な刑事マクダフ(クリストファー・ウォーケン)が現れ、彼の調査はマックベス夫妻を苛み、そこから新たな殺人が起きていく…。といった内容の作品。バッド・カンパニーの曲が多用されているのも特徴らしいけど、俺あのバンドよく知らない。

低予算映画ながら、セリフのタイミングとかジョークの間のとり方とかがなかなかよく出来ていて面白い。平凡で退屈な町の住民たちの描写もうまくて、主人公マックベスはやや愚鈍すぎるような気もするものの、悪妻を演じるモーラ・ティアニーのアグレッシブな演技が秀逸。でもやっぱり一番いいのはクリストファー・ウォーケン!どんなゴミクズ映画(「カンガルー・ジャック」「カントリー・ベアーズ」)でも彼の出てるシーンだけは必ず面白いウォーケンだが、この作品でもサエてるんだか間抜けなんだかよく分からないベジタリアンの刑事を怪演していて実に素晴らしい。いつ見てもいい意味で何考えてるかわからないというか、ただ立ってるだけでもなんか怪しくて面白いんだよね。ラストの光景もえらく笑えたし。

でもまあこういう映画って、やはりシェイクスピアを知らないと十分に楽しめない作品なんだろうね。ただシェイクスピア原案の映画って毎年のように製作されてるけど、アメリカ人がそんなにシェイクスピアに通じてるとも思えないんだが。

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