米HULUのオリジナルシリーズで、映画化もミュージカル化もされたニック・ホーンビィの人気小説をシリーズ化したもの。

おれ原作小説はすんごく好きでして、レコード屋の店長のロブが音楽について蘊蓄を語りながらも、女性関係については自信がなくてオロオロする姿が他人事とは思えなくて、初めて読んだときに衝撃を受けてすぐに読み返し、当時好きだった女の子にも買って渡したら読んでもらえなかった、思い入れの深い作品なのであります。

そういう意味では原作の原理主義者でもありまして、ロンドンで店を営むロブが、郊外でセックス・ピストルズのA&M盤(えらく希少)を見つけてドキドキする描写とかが好きなので、世間では評判のいいジョン・キューザック主演の映画版も舞台をシカゴに移してしまったという点は好きではないのですよね。

そして今回のHULU版では店がニューヨークに移り、さらに主人公ロブは女性(本名ロビン)に変わってしまっている。ホーンビィの描くオタク男の心情が好きだった者としては、ずいぶん遠いところまで来たなあという感じ。話の展開自体は原作に比較的忠実で、店員ふたりと共にレコード屋を営むロブが、別れたばかりの恋人のことでウジウジしながら、過去の自分の恋人たちのことを回想していくもの。ロブがバイセクシュアルで、昔の恋人には女性がいるのが現代的なアレンジですかね。

「ハイ・フィデリティ」の特徴といえばロブがすぐ挙げる「トップ5リスト」と「ミックス(オムニバス)・テープ」ですが、前者は第4の壁を破ってロブが視聴者に直接「〇〇のトップ5は〜」と語りかける演出になっていて、これは映画版もそうだったな。そのリストの要となるのが「今まで付き合ってきた人トップ5」で、まだ数話しか観てないけどここから過去の恋人を再訪する展開が始まるのかな?

一方のミックス・テープのほうは「プレイリスト」と称して、店にはアナログレコードしか置いてないロブがパソコンでのほほんと「恋人に贈る最強の選曲リスト」をまとめていく。しかしなあ、ミックス・テープってのはそんなんじゃないんだよ!カセットテープに入れられる分数(当時は46分が主流だった)を綿密に計算し、ちゃんとA面とB面で盛り上がりがあるように曲を選び、カセットレーベルも手書きでカッコつけて、好きだった女の子に渡して、あまり聴いてもらえないまでがミックス・テープなんだよ!とオッサンの自分は主張したいのです。

なお劇中で使われてる曲は、ミュージック・プロデューサーをザ・ルーツのクエストラブが勤めていることもあるせいか、クラシック・ロックから最近の曲に至るまで多岐に渡っていてなかなか興味深いし、勉強になります。Spotifyのリストはこちら。少しニューウェーブ系の音楽に偏重しているかな?第3話ではロブの妄想としてデボラ・ハリー様ご自身が登場されておりました。

主役のロブを演じるのはゾーイ・クラヴィッツ。どう見ても男には不足しそうのない、モデル並みの外見を持ってるロブというのは原作のイメージとかけ離れてるけど、まあそういうものなのでしょう。映画版では彼女の母親のリサ・ボネットが出演してたので、奇妙な縁があるな。それ以外はそんなに著名な役者は出ていないみたい。

というわけで原作小説とはかなり違う形になってしまった(ニック・ホーンビィの別の小説よりはマシだが)ものの、やはり凝った音楽の趣味を持つレコード店員たちのやりとりは軽妙だし、ロブの恋愛がどういう展開を経るのか見たい気もするので、当面は視聴し続けることにします。しかし米HULUのオリジナル番組って、今後は日本で視聴できる機会は出てくるんだろうか?

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