「英国王のスピーチ」鑑賞


遅ればせながら。なんかとても無難な映画だなあという感じ。「事実に基づいた物語」「英国皇室のドラマ」「ハンディキャップに打ち勝つ主人公」といういかにもアカデミー賞向けの題材に、エグいキャンペーンを行うことで知られるワインシュタイン・カンパニーが加わればオスカー映画のいっちょあがり〜といったところか。

世界で最も演技が巧い役者だと思うジェフリー・ラッシュとコリン・ファースのやりとりが面白いことに救われて、彼らの会話シーンが大半という構成にも関わらず中だるみしない出来になっているものの、どうも話の展開にメリハリが無いような?主人公の吃音症のもとになった幼少時のトラウマ的経験についても会話のなかでさらっと説明されるだけだし、戦争を目前にして国民に訴えかける義務をもった彼の決意とか、彼の症状の改善に向けたブレイクスルー的発見みたいなものもあまり描かれていなくて、比較的淡白な内容になっていたような。

特に兄のエドワード8世は後にナチスと組んで王位の奪還を画策したほどの稀代のボンクラであることは周知の事実であるわけで、兄との確執をもっと深く描いても良かったような気がする。また献身的な妻を演じるヘレナ・ボナム=カーターもいい演技をしてるのだけど、我々にとってのクイーン・マザーというのはハイヒールと厚化粧をして130歳くらいまで生きたオバさんというイメージが強いので、頭のなかでそのイメージとボナム=カーターの姿が錯綜してしまったよ。

アカデミー賞を穫ったこと自体は驚かないけど、これが昨年ベストの映画かといったらそうではないわな、といった作品。

「Fight For Your Right Revisited」鑑賞


言わずと知れたビースティ・ボーイズの新譜にあわせて作られた短編映画。監督はメンバーの1人であるアダム・ヤウク。

ストーリーはあって無いようなもので、イライジャ・ウッドとダニー・マクブライドとセス・ローゲンが演じるビースティ・ボーイズがビール飲みながらニューヨークの路上で乱痴気騒ぎを広げているうちに、ウィル・フェレルとジャック・ブラックとジョン・C・ライリー演じる未来の彼らと遭遇し、ダンス・バトルを繰り広げるというもの。いつの間にか小便のかけ合いになってしまう展開がアレですが。

とにかく出演者が豪華で、上記の6人のほかにウィル・アーネットやテッド・ダンソン、キルステン・ダンスト、スーザン・サランドンなどといった有名俳優がわんさかとカメオ出演している。たぶん近くのスタジオで撮影している人たちに片っ端から声をかけたんだろう。知ってる顔がどれだけいるかを数えながら観るのもいいかも。カウベルを叩くウィル・フェレルなんていう懐かしいネタも入ってるぞ。

「CHAOS」鑑賞


CBSの新作シリーズ。第1話の監督はブレット・ラトナー。

子供の頃から諜報部員に憧れていたリックは努力がかなってCIAに入るものの、自分が配属されるはずだった部署は予算削減のため閉鎖の憂き目にあっていた。落胆するリックに、上司は代わりの仕事を与える:それはCIAの秘密組織であるClandestine Administration and Oversight Services (CAOS)のなかでも風変わりな連中がそろったチームに加わり、彼らの行動を内密に上司に報告するというものだった。さっそくリックが入れられたそのチームは狡猾なリーダーのほか、スコットランド人や「人間兵器」の通称を持つ男といった奇妙な面子が揃っており、彼らはリックがやってきた理由をすぐに見抜き、逆に彼を恐喝してチームの任務を無理矢理手伝わせることに。そして彼らは囚われたフランスのジャーナリストを救出するために、上司の命令も無視してスーダンに向かうのだが…というようなのが第1話のあらすじ。

それなりに国際問題とかを扱ってるんだけど、内容は基本的にコメディであってシリアスなものではない。アクションも多いあたりは「CHUCK」とかに似てると言えるかな。第1話では豪華に砂漠ロケとかしてたけど、今後はどこまでその規模が保てるやら。それとキャストが比較的豪華で、リック役をフレディ・ロドリゲスが演じるほか、エリック・クローズやティム・ブレイク・ネルソンといった役者が出演している。「ギャラクティカ」のゲイタ君もちょろっと出てたぞ。ティム・ブレイク・ネルソンは映画の人と言う印象が強いので、こういう地上波シリーズにレギュラー出演するのは意外だな。またフレディ・ロドリゲスは「グラインドハウス」のラフなイメージが強いので、小綺麗でマヌケなリックの役はちょっと違和感があったな。

アクションもあるしコメディもあるし、無難に楽しめるシリーズではあるんだけど、逆に特筆すべき点もそんなに無いかな。各エピソードごとに異国に侵入する展開ではすぐにネタ切れになるかも?また放送局と製作会社がモメたとい話も聞いたので、もしかしたらあまり長続きしないかもしれない。

「HAPPY ENDINGS」鑑賞


ABCの新作シットコム。恋を求める男女6人の生活を描いたロマンチック・コメディなんだけど、こないだの「TRAFFIC LIGHT」にしろ「PERFECT COUPLES」にしろ、男女3組が主役のロムコムがテレビに多いのは「フレンズ」の影響が大きいんだろうか、それとももっと前からの伝統なのかな。ただし今回はゲイの男性とか黒人もいて、ストレートな白人だらけだった従来の番組とはちょっと違った感じ。「スコット・ピルグリム」もそうだったけど、男女の恋愛を冷めた目で観察するゲイのキャラクターってのは結構面白いですね。

登場するのは結婚式で破局したカップルと、子づくりをしようとしてる夫婦、ゲイの男性、そしてずっとシングルの女性といった面々。有名どころではエリシャ・カスバートが出ているほか、デイモン・ウィリアムズの息子も出演している。女性陣がみんな可愛くないのが個人的にはマイナス点でございます。

それぞれの登場人物のキャラクターは立っているし、セリフもちょっと毒があってそれなりに楽しめた。むしろ90分のインディーズ映画とかにしたほうが話がタイトにまとまって面白くなったかもしれないが、TVシリーズとして成功するかどうかは何とも言えんな。