「世界侵略:ロサンゼルス決戦」鑑賞


とてもひどいダメ映画。アメリカで酷評されたので覚悟して観たけど、予想をはるかに下回る出来だった。とりあえず観ててダメだと思った点をいろいろ挙げていく。ネタバレがあるかもしれないがどうでもいい:

・話に起伏がない。というかストーリーが殆どない。たまにちょっと静かなシーンがあってもお決まりの展開(死に行く肉親とか)が披露されるだけで、あとは最初から最後までドンパチが続くだけ。
・キャラクターが全く立ってない。主人公にちょっとだけバックグラウンドがあるだけで、あとは誰もが一緒に見える。軍隊だからみんな同じ服装なのでさらに見分けがつかない。かといって戦闘のプロかというとそうでもなくて、攻撃されるとみんなパニックに陥ってるのは情けない。
・エイリアンがカッコ悪い。普通なら「相手はどんな格好してるんだろう?」といった好奇心を抱かせてくれるはずだが、この作品はエイリアンの解剖シーンがありながらもエイリアンの外見がよく分からないというお粗末さ。おまけに彼らが用いる兵器や乗り物も地球のものに良く似ていて面白みなし。
・役者がみんな叫びっぱなし。演技なんかが入る余地なし。ずっと大声で叫んでるだけ。

他にもいろいろあるんだがここらへんでやめとく。なんか敵がエイリアンだという必要はなかったんじゃないの?とまで思ってしまった。何が目的で侵略してるんだかよく分からないし(冗談のような推論は紹介される)、こうした侵略ものって圧倒的な戦力を持つエイリアンを人間側の機知でどうやって倒すかが大きな醍醐味だと思うんだが、ここでは力で力を制しているだけ。話にヒネリも何もない。

戦争ものと侵略ものの映画なんてのは今まで数多とつくられてきたわけで、参考になるネタとかはいくらでもあったはずなのに、なんでこんなゴミ作品が大金をかけて作られたのかは理解に苦しむよな。もうこの監督は2度と映画を作るべきではないと思う。同じロボット(?)との戦闘なら、「ギャラクティカ」のシーズン3冒頭のほうがはるかに迫力があったしストーリーも豊かだったぞ。

「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」鑑賞


マシュー・ヴォーンは「キック・アス」が個人的にダメだったのでちょっと不安だったんだが、これは純粋な娯楽作品として楽しめた。60年代の007映画のパスティーシュ的なノリが良かったのかな。ただしアメコミに関する結構な知識を求められる内容になってると思うので(まさかアザゼルが出てくるとは思わなかった)、原作を知らない人には意味不明のところがあるかもしれない。

前の3部作よりも良いという意見も見かけるけど、プロフェッサーXとマグニートーとの関係に限って言えば、やはりパトリック・スチュワートとイアン・マッケランというベテラン俳優同士の対決のほうが優れていたかな。ジェームズ・マカヴォイはチビで童顔なのが災いして、指導者というよりも部活のマネージャーのように見えてしまうのが難点か。でも両者のイデオロギー違いが明確になり袂を分かつ流れはうまく描かれていたと思う。尤もこの映画にイデオロギーなどをあまり期待してはいけないわけで、「差別は良くない!」と言っときつつも黒人キャラは全く活躍しないし。あとアメリカ政府はレイ・ワイズにマイケル・アイアンサイドにオリバー・プラットといった俺好みの俳優を揃えておきながら、数人のミュータントに手玉にとられてしまうのが情けないのう。

突出してこれが良かったというような点は無いものの、ストーリーのテンポもよくて無駄がなく、見せ場もきちんと作られている快作。プリクエルであるがゆえに話が少し制限されている感じがするが(特にミスティークまわり)、いっそもう前の3部作は無視して自由に話を進めたほうが良いんじゃないのかな。フォックスは新たな3部作を作る気でいるらしいけど、ここから話はどう展開してくんだろう?次はベトナム戦争を背景にフォージが登場するとか、福島広島出身のサンファイアが出てくるとか?人類とミュータントが結束してヒッピーと戦う、なんてのもいいかもしれない。

「SUITS」鑑賞


USAネットワークの新作法廷ドラマ。USAネットワークの常として第1話は90分(実尺70分)あるんだけど、あれって効果あるのかね?作品によっては冗長に感じられるだけで、短くピシッとまとめたほうがいい場合もあると思うんだが。

舞台となるのはニューヨークの大手弁護士事務所で、そこで働くハーヴィーは敏腕であるもののウソをついてでも訴訟に決着をつけることから上司の怒りをかっていた。そんな彼は新人弁護士の採用面接を行うことになったのだが、ふとしたことがきっかけでマイクという若者に出会う。マイクは天才的な記憶力の持ち主で、法律書などもそらで暗唱できるものの、学生時代に不正を行ったため弁護士になれなかった経歴を持っていた。そんなマイクの能力に感心したハーヴィーは、マイクが大学を出ていないのにも関わらず彼を雇い、いろんな訴訟を扱わせるのだった…というような話。

まあ内容は平凡な法廷ドラマといった感じで、主演の2人の俳優はよく知りません。2人の上司としてジナ・トレスが出ている。観ていて気になったのが、登場人物がみんなトゲトゲしいというか自分勝手なところで、事務所や大学の受付係までが非常に横柄だという徹底ぶり。ハーヴィーは訴訟で勝つことしか考えてないうえにプロボノの仕事を露骨に嫌がるし、ナイーブさで視聴者に共感を抱かせるはずの役のマイクでさえも、どうも小生意気な若造という感が否めない。

そして高級な弁護士事務所でのドラマにありがちなんだけど、法廷での争いと事務所のメンツに話の焦点があたりすぎて、実際に訴訟を起こした一般人の扱いがないがしろにされてるんだよな。第1話ではセクハラされて解雇されたシングルマザーというとてもベタな人物が出てくるものの、彼女の困窮などは殆ど描かれてないし。この雰囲気って前にあった「THE DEEP END」によく似てるな、と思ったらクリエーターが一緒だったのか!

題名が示すように、高級なスーツを着た弁護士の生態が見たい人向けの作品。俺自身は高給取りの弁護士は嫌いです。

「COMBAT HOSPITAL」鑑賞


ABCの新作ドラマ。どうもカナダ製らしくて、この時期にやるということは同じくABCの「ルーキーブルー」と同じような扱いになるのかな。外国製で製作費が安く、夏で視聴率があまりとれなくても構わない番組というか何というか。

舞台となるのは2006年のアフガニスタンはカンダハール。そこでタリバンと戦っているNATOの基地に派遣された軍医のレベッカは、戦場の過酷な病院の状態やいつ襲撃されるか分からないという状況に圧倒されながらも、厳しいが心優しいマークス大佐のもと、同僚のボビーたちと一緒に負傷した兵士や地元の住民たちの治療にあたるのだった…というような話。

戦場の医療ものというと真っ先に「MASH」が思い浮かぶが、こっちはコメディではなくて真面目なドラマ。「チャイナ・ビーチ」に近いのかな?俺あれ観たことないですが。とんでもない辺境で頑張る女性医師という点では昨年の「OFF THE MAP」によく似ていたな。片言の英語が話せる現地民がバカっぽく描かれてるところとかも。

ことあるごとに頭上をヘリコプターが飛びまわり、手術室にヘビが出たりして「ここは戦場なんだ!」と上司に叱責されるあたりはなんかベタな感じがしますが、「クラッシュ」のイライアス・コティーズが出てることもあってそんなに悪い内容ではないと思う。

基地のセットはトロントに作ったらしいけど、基地の外のシーンを撮影するような金はないだろうから、ずっと基地のなかで話が進んでいくのかな。今後の話の展開がどうもつかみにくい作品ではある。

「The Nine Lives of Chloe King」鑑賞


これまたABCファミリーの新作。ヤングアダルト向け小説が原作みたい。

ウクライナの孤児院から養子にとられ、サンフランシスコで育ったクロエ・キングは普通のティーンの女の子だったが、16歳の誕生日を迎えたあたりから体に異変が起こり、常人離れした敏捷性や体力や聴力などを持つようになったほか、指先からは鋭い爪が出てくるようになったのだ。こうした変化に戸惑う彼女だったが、すぐに何者かに命を付け狙われるようになる。それによって命を落としたかのように思えた彼女だが、すぐに息を吹き返し、自分が古代から続く特別な能力をもった種族の末裔であり、その種族を抹殺しようとしている組織があることを、彼女の前に現れた同じ種族の者たちから教えられる。こうしてクロエは普通のティーンの暮らしをしながらも、彼女を狙う者たちと戦うことになるのだった…というような話。

まあ所詮はABCファミリーの作品なので、シリアスな場面とか難しいプロットとかはあまりなくて、すごい能力を身につけた女の子が悪をやっつけて活躍するような内容になっている。予算もないんで凝ったVFXとかも無いけど、そのぶん気楽に観られる作品になっているかな。最近流行りの「普通の人がスーパーパワーを身につける作品」としては「THE CAPE」や「NO ORDINARY FAMILY」よりも楽しめるんじゃないの。ABCファミリーのアクションものとしては「THE MIDDLEMAN」には遠く及びませんが。

なおクロエの種族は「普通の人間とキスをすると相手が死ぬ」という意味不明な能力を持っているほか、クロエはそのなかでも「選ばれし者」なので9つの命を持っているという設定になってるんだが、それってストーリー上どうなんだろう。主人公がどんなピンチに陥っても「あと8回死ねるからいいや」といった感じでスリルが削がれたりしないんだろうか。ここはやはりオシシ仮面のように、主人公が死んだら身内が後を継ぐようにして…。