なんか第一波も第二波もまるで世間で話題になってない感のある米アマゾンの新作シリーズのパイロット群ですが、いつのまにか第三波が来ていて、これはその中の1つ。ほかにもソダーバーグ製作のコメディとか、ミーナ・スヴァーリ主演のスリラーとか、ウィット・スティルマンのドラマとかが揃ってるみたい。
この番組の主役となるのは、地元の有力な一家の出身であり、厳しい判決を下すことで知られている判事のパーネル・ハリス。彼は妻子がありながらもオフィスに娼婦を呼ぶような堕落した判事だったが、息子の嫁がレイプされ、それを苦にした息子が銃で自殺を図って昏睡状態に陥るという悲劇を経験して神経衰弱に陥ってしまう。意識が朦朧としていたときに怪しげな元俳優が運営する教会に多額の献金をしてしまった彼だが、息子の病室にて彼の「声」を耳にするようになり、それを神からのメッセージだと考えた彼は、それをもとにレイプ犯らしき男をつきとめ、自分が釈放させた犯罪者を使って復讐を試みるが…というようなプロット。
うーん。法廷ものなのか、復讐劇なのか、スピリチュアルなものなのか、何をしたいのかよく分からない内容だなあ。神の声を聞いてひとりで奮闘している主人公の空回りっぷりがなんか痛々しいのな。いちおう事件の裏には陰謀があることが示唆され、ほかにも市政に関わるパワーゲームとかが詰め込まれてるのだが、無駄に複雑に絡んだプロットを説明的なセリフで解説しようとしてるから、どうも観ていてしんどい内容であった。
主人公を演じるのはロン・パールマン。彼の妻を演じるのがダナ・デラーニーで、ほかにもアンドレ・ローヨとかギャレット・ディラハントとかが出演してて、キャストはやたら豪華なんですよ。地上波ネットワークで主役を演じられそうな役者を揃えた点はすごいが、やはりストーリーがなあ。あと観てて気づいたがアンドレ・ローヨって意外と滑舌が悪くて、「ザ・ワイヤー」でのジャンキー役はそれが似合ってたのだが今回の市長役には合ってないような。またパイロットの監督はマーク・フォースターが務めてます。
これからVODサービスが台頭していくなか、各サービスがオリジナル番組を製作する流れはさらに顕著になっていくと思うが、アマゾンの番組ってなんでこんな地味なんだろ。ネットフリックスもすべてが成功しているとは言わないが、アマゾンの番組はことごとく失敗しているような。でも今後はフィリップ・K・ディックの「高い城の男」の映像化とか、パトリック・ワーバートン主演のカルト番組「THE TICK」の復活とかが噂されているようなので、とりあえずそっちに期待しておきましょう。