9年ぶりの続編。以前から公表されていた通り、原作のうち「A DAME TO KILL FOR」を主軸に置いたもので、語られる話は4つ。前作と異なりうち2つは映画版オリジナルの脚本となっている。セグメント順に説明すると:
「Just Another Saturday Night」
1話読み切りのやつが原作。タイトル前のちょっとした短編ですね。マーヴを演じるのは前作に続いてミッキー・ローク。
「The Long Bad Night (Part I)」
映画オリジナルの話。というか出版されなかった原作の話を使ってるのかな?ジョセフ・ゴードン=レヴィット演じるギャンブラーが街にやってきて、悪徳政治家に賭けを挑む。抜群の賭けのセンスを持つギャンブラーはカッコいいんだけど…。
「A Dame to Kill For」
これがメインの話。ドワイトを演じるのはクライヴ・オーウェンに代わってジョシュ・ブローリン(いちおうオーウェンにも打診はしてたらしい)。まあ原作通りの話かな。前作の「The Big Fat Kill」の前日譚だけどコンテュニュイティーがちょっと変なのは気にしないように。
「The Long Bad Night (Part II)」
メインの話をブックエンドするような形で続きが語られる。パート1ではカッコよかったギャンブラーがどんどんヘタレになっていくような…。終り方もしっくりこないのよな。
「Nancy’s Last Dance」
前作の「That Yellow Bastard」の続編。ハーティガン刑事の仇をとるために、復讐計画を企てるナンシーの話。殴り込みに加担するマーヴが強すぎるのと、ナンシーを演じるジェシカ・アルバのアクションの演技がなっちゃいないので、なんか長過ぎる蛇足のような話であることは否めない。
ミッキー・ロークやジェシカ・アルバ、ブルース・ウィリスなどは前作に引き続き同じ役を演じているが、9年のあいだに鬼籍に入った人もいるので(マイケル・クラーク・ダンカンとか)、一部の役はキャストが変更になっている。デボン青木が演じてたミホはジェイミー・チャンが演じてるが、あの能面顔はデボン青木のほうが似合ってましたね。強大な黒幕のウォレンキストをステイシー・キーチが演じてるが、あんなコテコテのメークを施したのなら誰が演じても同じだったろうに。なおジェシカ・アルバが相変わらず脱がないストリッパーを演じているのに対し、「DAME」役のエヴァ・グリーンはすっぽんぽんで頑張ってます。あとはクリストファー・ロイドとかロザリオ・ドーンとか、キャストは豪華なのよキャストは。
結末を知らない映画オリジナルの話のほうが楽しめるかと思ってたけど、脚本がなんか拙いのよな。最初の短編はテンポがよくて面白かったものの、後半になるとかなり失速してしまっているような。単純に原作の「Family Values」(珍作「To Hell And Back」は忘れよう)あたりを映像化すれば良かったのに。そうするとドワイトづくめになるから外したのだろうか。
ビジュアル的にはカッコいいし、皆のオーバーすぎる演技もそれはそれで似合ってるんだが、どうも全体的に盛り上がりに欠けているんだよな。いちおう3部作にする予定らしいけど、本作が興行的に失敗だったので続きは作られないかも。個人的に好きな「Family Values」が映像化されてないのがちょっと残念。