※前もそうだったけど、キアヌの映画はあらすじ書いてる方が楽しいので、この先はいろいろネタバレがあります。ご注意ください。
キアヌことジョン・ウィックは雇う側も畏怖するような凄腕の殺し屋だったが、ある女性と恋に落ち、彼女と結婚してからは血なまぐさい過去を捨てて幸せに暮らすはずだった。しかし彼女は突然の病に倒れ、帰らぬ人となってしまう(冒頭5分でここまで展開する)。哀しみにくれるジョン(名前はジョナサンらしいのだが、なぜか名前はJonでなくJohnとなっている)そんな彼のもとに一匹のわんこが贈られて来る。それは彼女の妻が自分の形見として彼に贈ったのだった(どうも人が死ぬと当日にわんこを配達してくれるサービスになっているらしい)。
そんなわんこに愛情を注ぎ、一緒にドライブに行くジョン。しかし彼の69年型ムスタングに目をつけたロシアン・マフィアのボンクラ息子たちが夜中にジョンの家に侵入して彼を痛めつけ、さらにはわんこを殺して車を奪ってしまう。俺のわんこと車を奪いやがって!と冷たい復讐に燃えるジョン(しかし車は空港でかなり乱暴に乗り回したりしてて、さほど大切に扱ってたようには見えないのだが)。自分の息子がジョン・ウィックの車を盗んだことを悟ったマフィアのボスはさっそくジョンに詫びの電話を入れるのだが、そんなものには耳を貸さないジョン・ウィック(嫌なやつだね、どうも)。地下に埋めていた武器を掘り起こし、豊富な資金力をもってボンクラ息子への復讐を計画する。仕方なしにマフィアのボスが送りこんできた刺客たちもジュードー・アクションでなぎ倒し、マフィアたちのいるニューヨークへと向かうのだった。
ニューヨークでジョンが泊まるのは、殺し屋たちのために作られたホテル。これがこの映画でのいちばん特徴的な設定なのだが、バーに情報源に闇医者と、殺し屋が必用とするものは何でも揃っているホテルで、おまけに場内での格闘・暗殺は禁止というルールが(いちおう)徹底している。ジョンはそこの古参の客なのでみんなにいろいろ助けられて…という感じなのだが、復讐される側のボンクラ息子と力量差がありすぎるだろこれ。
デンゼル・ワシントンの「イコライザー」を観た時も思ったが、悪に単独で立ち向かうかと思われた主人公のバックに強大な組織がついていて、主人公がチートなレベルで強いようだと観ていてドキドキハラハラせんのよね。「007」シリーズだってジェームズ・ボンドには孤軍奮闘させてたのに、この映画では主人公のピンチは周りが救ってくれるし、ライバルの殺し屋も他人が始末してくれて、主人公が優遇されすぎているような。一方でその主人公はクールな殺し屋のように見えて銃をバンバン乱射するような奴で、あれ一般人に被害を加えてるんじゃないだろうか。
あと敵がロシアン・マフィアなのでロシア語と英語字幕がたくさん出て来るわけですが、「殺し屋」とか「Fuck」といった言葉に色付きのフォントを使っているあたりが日本のヤンキー漫画みたいで微笑ましいですね。しかし最近の映画の悪役はなんでみんなロシアン・マフィアばかりなんだろう。在米のロシア人たちはそろそろ抗議してもいいかもしれない。
キアヌはいつも通りのキアヌ。ディカプリオみたいにそろそろコメディに挑戦しても良いと思うのだがなあ。スタッフもダチで固めてるし。あと脇役はミカエル・ニクヴィストやウィレム・デフォー、イアン・マクシェーンにジョン・レグイザモなどと結構豪華。でもみんなあまり見せ場がないような。
世間的には評判が良くて、続編の製作が早くも決まったようだけど、個人的には平凡なアクション映画とした思えなかったよ。とりあえず続編ではわんこ殺さないでおいてねわんこ。