コメディ・セントラルの新番組。
ドナルド・トランプが大統領になって以来、アメリカの深夜帯の番組は政治色を強めたことで視聴率を稼ぐようになっておりまして、選挙期間中はトランプをホストに迎えて彼の人気向上に貢献するという愚挙を犯した「サタデー・ナイト・ライブ」も最近はアレック・ボールドウィンの物まねなどで風刺の度合いを強めて人気を得ているし、「デイリーショー」仕込みの政治ネタを披露するようになったスティーブン・コルベアーの「レイト・ショー」は、トランプに日和ったインタビューをしたと叩かれたジミー・ファロンの「トゥナイト・ショー」を視聴率で追い抜いてしまった。
コメディ・セントラルにはすでに「デイリーショー」があるわけだが、そのトレンドに乗っかるべし、とでも考えたのか出してきたのがこの番組なわけですね。アンソニー・アタマヌイック(Atamanuik)なるコメディアンがトランプに扮してトークショー形式の番組をやるという形式で、マイク・ペンス副大統領のサイドキックつき。第1話はトランプのモノローグのあと、ニューヨーク市街に繰り出して通行人にインタビューしたりして、ゲストにはリベラルで知られるキャスターのキース・オルバーマンを迎えるという展開でした。
アタマヌイックって過去にもトランプの物まねをよくやってたようで、それが認められて番組に抜擢されたらしい。ボールドウィンには何故かディスられてるようだが、まああっちは短いスケッチをメインに行っているわけで、どちらの物まねが上手いというのは判断できんね。脚本のあるモノローグなどはさほど面白いとは思わなかったけど、アタマヌイックってインプロビゼーション集団のUCB(United Citizens Brigade)出身のようで、一般の通行人とのやりとりなどに、才能の光るものを感じました。
しかしまあトランプ本人がタチの悪い冗談の権化みたいな人なので、あれをどうコメディにしようとも現実の奇妙さには太刀打ちできないのではないか、という気もする。同じ局でやっていた、ブッシュ息子のパロディ番組「That’s My Bush!」もあっという間に打ち切りになってしまったしね。あとは戦争とかテロ攻撃が起きたりした暁には、大統領をコケにした番組は大変作りにくくなると思うのですが、そのような事態が起きないことを祈りましょう。