「WONDER WOMAN (2011)」鑑賞


こんどの劇場版とは関係ないよ。知ってる人は知ってる話ですが、2011年に「ワンダーウーマン」のTVシリーズが製作されるという話があって、デビッド・E・ケリーが脚本を担当したパイロット版が撮影されてNBCが興味を示していたものの、出来が良くないという話で結局放送が見送られたことがあったんですね。そのオクラ入りになったパイロット版を観てみたいと長年願っていたのですが、twitter経由でウェブ上で公開されていることを知って鑑賞してみた(URLはいちおう伏せておく)。

コミックと設定がそこそこ違っていて、こっちのワンダーウーマンことダイアナ・セミスキラはスーパーヒーローであるとともに、ロサンゼルスに拠点を置く巨大企業セミスキラ・インダストリーズのCEOでもある(プライベートではダイアナ・プリンスの名で、素朴な女性として暮らしている)。

「ワンダーウーマン」は1つの巨大なブランドであり、セミスキラ・インダストリーズは彼女のマネージメントをしたり、マーチャンダイズ販売などを手がけているという設定。まあ基本的には正義のヒーローなので、違法なドラッグを扱っているとにらんだ企業に対しては記者会見を開いてそこのCEOを悪人呼ばわりし、捜査令状もなしに会社に乗り込んで暴れて人体実験の現場を暴いたりするのですが、それって明らかに合法的ではないよなあ。

でもこのワンダーウーマンは「法があなたを裁けないなら、私が裁くわ!」と言ってしまうタイプで、CEOというよりもビジランテのような感じ。一人乗りの小型ジェット(透明ではない)を乗り回し、黄金の投げ縄を使ってアクションを繰り広げるものの、原作と違って投げ縄には相手に真実を告白させるという能力はなし。よって彼女は悪人を痛みつけて情報を引き出すのだ!ブレスレットで銃弾を弾くシーンはあるもののティアラを投げたりはせず、代わりに奪った鉄パイプをブン投げて人を殺してしまうのはちょっと引きましたよ。自分の目標のためには手段を選ばないあたり、コミックのワンダーウーマンというよりも「アストロ・シティ」のウィングド・ビクトリー(女性至上主義のヒーローで、女性のための施設などを運営している)に設定が似ているかな。

彼女の無鉄砲さに秘書のエッタ・キャンディやセミスキラの重役は手を焼きつつも彼女をサポートし、彼女のお目付役として司法省から派遣されるのが、元カレのスティーブ・トレバー。悪い企業のCEOであるベロニカ・ケールというのもコミックからのキャラクターなんですね。

ワンダーウーマン役には「エージェント・オブ・シールド」のエイドリアンヌ・パリッキ。セミスキラの重役がケイリー・エルウィスでベロニカ・ケールをエリザベス・ハーレイが演じている。

スーパーヒーローものかと思わせつつ、すぐさま「大企業で働く女性もの」になってしまうのはデビッド・E・ケリーだなあという感じ。でも評判よりかはずっと楽しめた。これが製作された2011年って「アベンジャーズ」よりも前で、公明正大なヒーローが主流だった頃だから、こういうビジネスライクなヒーローものって受けなかったのかもしれない。でも「デッドプール」などが流行ったいまから観ると、ちょっとズレた感覚が新鮮に思えて面白かったです。

ワーナーとしては今度の劇場版に専念したいだろうし、デビッド・E・ケリーも長年パッとしない状況だったのがHBOの「ビッグ・リトル・ライズ」が久々にヒットしたし、この作品が復活するような可能性はゼロでしょう。でも過去にもシリーズ化されなかった「アクアマン」のパイロット版は世に出ているわけで、これも未完成のCG部分をチョチョイと直して売り出せばそこそこ話題になるんじゃないかと思うのです。

これはファンメイドの映像。

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