「THE WHITE DIAMOND」鑑賞

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ヴェルナー・ヘルツォークの2004年のドキュメンタリー「THE WHITE DIAMOND」を観る。

これは小型の飛行船を使って、ガイアナの熱帯雨林を上部から撮影しようとする航空技師グラハム・ドリントン博士の努力を追ったもので、子供の頃にロケットの爆発で指を失いながらも航空技術没頭するドリントンの姿と、熱帯雨林という舞台は「アギーレ」や「フィッツカラルド」を彷彿させる。あと「WILD BLUE YONDER」と同じくErnst Reijsegerの音楽が多用されている。またヘルツォークの他のドキュメンタリー「Little Dieter needs to Fly」の主人公であるディーター・デングラーが別の小型飛行船を使って撮影中に転落死するのをドリントンは目撃しており、その事故の暗い影が作品を覆っているのが特徴的だ。

肝心の撮影飛行は必ずしもスペクタクルなものではないものの、トラブルにもめげず夢を叶えようとするドリントンの姿や、ガイアナの信じられないくらいに巨大な滝、および熱帯雨林の動物たちの光景は非常に見応えがある。危険が伴う最初の飛行にも、ヘルツォークは自らカメラを抱えて乗り込むんだからタフだよなあ。

あと滝の裏側にあるアマツバメの巣を撮影するシーンがあるんだが、結局のところヘルツォークはこの映像を公開せずに終わっている。現地の人たちの言い伝えを尊重したのか、それとも観る人に想像の余地を残しておきたかったのか不明だけど、こういう普通のドキュメンタリー作家だったらまずしないような判断に、彼の映画人としての奥の深さを感じてしまうのです。

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