「THE GIFTED」鑑賞


FOXの新シリーズ。紛らわしいがFOXの映画「GIFTED」とは何も関係なくて、「Xメン」のスピンオフ作品。

ストーリーの舞台は劇場版と同様に、特殊な能力を持ったミュータントたちが出現し、それを恐れた人間たちがミュータントを捕獲・管理している世界。一部のミュータントたちは政府の追跡を逃れ、潜伏して地下組織を作り上げていた。地方検事のリード・ストラッカーは捕獲されたミュータントを尋問する立場だったが、彼のふたりの子供たちがミュータントの能力を備えていることを知り、今までの立場から一転して家族を守るために妻と子供たちとともに逃亡を図り、潜伏しているミュータントたちに連絡をとる。しかし政府組織のセンチネル・サービスの追っ手が彼らに迫っているのだった…というあらすじ。

この世界においてXメン(およびブラザーフッド)は長らく消息を絶っている、ということが言及されており、劇場版「Xメン」と同じユニバースの話なのか、それとも別の設定の話なのかは現時点では不明。同じくXメンのスピンオフである「レギオン」とも、恐らくは無関係。ブリンクやサンダーバードといったキャラクターが出ているあたり、「フューチャー&パスト」の(結果的に)変更された未来につながっているのかもしれないが、あまり深く考えても仕方ないでしょう。なおセンチネル・サービスがミュータント狩りに使うのは巨大ロボットなどではなく、「マイノリティー・レポート」に出てきたようなクモ型ロボットになっている。

ストーリーはコミックに準拠せずに完全なオリジナルだが、コミックと同じパワーを持ったミュータントとしては前述のブリンク(テレポート能力)やサンダーバード(追跡能力)のほかに、ポラリス(磁力)が登場している。光を操るヒスパニックのミュータントがいたのでサンスポットかと思ったらエクリプスというオリジナルのミュータントみたい。気になるのはリードのティーンの息子(テレキネシス)と娘(バリアー)の名字が「ストラッカー」だということで、それってヴィランであるフェンリス・ツインのことでは…?まあコミックとは別キャラだろうが、なんでヴィランの名字を一家につけたのかは不明。

出演は「トゥルー・ブラッド」のスティーヴン・モイヤーのほか、「エンジェル」のエイミー・アッカー、「インコーポレイテッド」のショーン・ティール、コービー・ベル、ジェイミー・チャンといったテレビドラマのベテラン勢が揃っている。ショウランナーは「バーン・ノーティス」のマット・ニックスで、プロデューサーにレン・ワイズマンやブライアン・シンガーが名を連ねており、第1話の監督をシンガーが務めていた。

身内がミュータントであることを知り、追う側が追われることになるという第1話の展開は決して目新しいものではないが、ブライアン・シンガーの演出が手堅いので十分に楽しめる。「インヒューマンズ」に比べれば10倍くらいは面白いんじゃないのか。スタン・リーもがっちりカメオ出演してるし(たまたまコミコンで近くにいたのを急いで撮影したらしい)、マーベル・スタジオの番組よりもマーベルっぽいですな。シンガーは「X2」でアイスマンが親にミュータントであることを打ち明けるシーンを、ゲイがカミングアウトする姿のアナロジーとして描いて高い評価を得たが、この番組でもそうした比喩が根底にあって、ゲイのスローガンである「It gets better」というセリフがしれっと使われていた。他にも政府の弾圧を逃れて主人公たちがメキシコに逃げようとするさまはトランプ政権を反映してるんじゃないだろうか。

クリエーターが好き勝手にやれた「レギオン」に比べると、地上波ネットワークの典型的なSFドラマだという印象は拭えないが、それなりに良くできた内容になってるんじゃないですかね?劇場版やコミックに気を使うことなく、あくまでも独自のストーリーを貫けば結構面白いシリーズになる可能性はあると思う。

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