「Blindspotting」鑑賞

昨年のサンダンスで公開されて高い評価を得た作品。

舞台はオークランド。酒場のケンカで逮捕されて仮釈放されたコリンは、保護観察期間が終わるまであと3日に迫っていた。彼は幼馴染の悪友マイルズと引っ越し会社で働いていたが、夜に帰宅しようとしたときに黒人男性が白人の警察官に撃ち殺されるのを目撃してしまう。この出来事に苛まれるコリン。一方のマイルズは妻子がいるのにブチ切れやすいタイプで、悪ノリで入手した拳銃をチラつかせて、コリンは気が気でない。果たして彼は無事保護観察期間を終えることができるのか…というあらすじ。

いちおうコメディドラマという扱いになっているようだけど、コメディの要素はあまりなくて、オークランドの現況を背景にした、いい年した男ふたりの青春物語といった感じ。「Sorry To Bother You」と同時期にオークランドで撮影したらしいが、あの作品ほど話がとんでもない方向に行くわけでもなく、人種差別とか銃問題とかをうまく織り込んで話が進んでいく。タイトルの「Blindspotting」は劇中の説明だと、1つのことが見えて別のことが見えない目の錯覚のことらしく、これが人種問題などを指していることが示唆されている。

監督のカルロス・ロペス・エストラダはミュージックビデオ出身で、これが初長編になるらしい。コリンをダビード・ディグス、マイルズをラファエル・カサールが演じているが、彼らは実際に幼馴染の親友らしく、脚本も一緒に執筆している。オークランドの状況をリアルに描きたくて脚本を書いたらしいが、まあ部外者にはそこらへんよく分からんがな。

話にものすごく起伏があるわけではないものの、主人公二人の掛け合いも巧妙だし、話のテンポが良いので飽きずに観られる作品。最後にちょっとしたクライマックスがあるのだけど、そこでセリフがヒップホップ調になるわけですね。ディグスはミュージカル「ハミルトン」にも出てたので、立て板に水を流すようなセリフ回しが大変素晴らしいのだけど、あれ日本語字幕とつけるの難しそうだなあ。

機会があれば観てみて損はない作品かと。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です