これから年末にかけて、見逃していた00年代の名作をいろいろ観ようかと思っているのです。そういう作品に限って長尺で観るのに時間かかったりするわけだが、この「マルホランド・ドライブ」もその1つで長尺ゆえに観るのを敬遠していたものの、いざ観てみると先が全く読めない展開のおかげでいっさい中だるみするようなこともなく、あっと言う間に観終わってしまった。こういう理解不能なストーリーであっても観る人を引き込むデビッド・リンチ(とアンジェロ・バダラメンティ)の手腕は流石だなあ。
ストーリーに関しては最初からもう理解しようとする気は放棄してるんだが、IMDbの解説を読んでなるほどーと合点がいった次第です。「XXは○○の夢だった」というのはやや安直な気がしないでもないが、今まで田舎を舞台にした作品が多かったリンチがハリウッドの虚栄を描くとこうなる、という意味では非常に興味深い。
あと冒頭のジルバのシーンとか観て感じたけど、リンチってジョン・ウォーターズに通じるものがあるんじゃないだろうか。どちらの作品も健全な50年代がベースにあって、それが何らかの理由で歪みに歪みまくってスクリーンの上に顕在しているような。そう思って調べてみたら彼らって同い年なんですね。
役者的にはナオミ・ワッツが素晴らしい。彼女こんないい演技ができるとは知らなかった。あとロバート・フォースターとかダン・ヘダヤといった俺好みの役者も出ているけど、どちらも出番が1シーンしかなかったのが残念。でもヘダヤの怪演は良かったな。
デビッド・リンチの凄さを再び実感させてくれた作品。こうなると「インランド・エンパイヤ」も観なきゃあかんな…でもあれは3時間もあるんだよな…。