「Ultimate Avengers」鑑賞

マーヴェルがアニメでDVD市場に参入することになり、その第1弾「Ultimate Avengers」を観る。配給はライオンズゲート。 タイトルが示すように「アルティメイツ」と「アヴェンジャーズ」をごっちゃにしたような作品だけど、ストーリーや設定は「アルティメイツ」を大幅にベースにしている。キャプテン・アメリカの発見から始まり、アヴェンジャーズの結成、そして地球侵略を狙うエイリアンとの決戦へと話が進んでいくが、原作を急ぎ足でなぞった感じが否めず、なんか話の展開に盛り上がりが欠けるきらいがあるかな。チームの団結力の欠如によりエイリアン1匹に手玉にとられるところとか、エイリアンを撃退した直後に味方のはずのハルクと戦うとか、なんか観ててスカッとするような内容になってないのは問題だろう。

もともと「アルティメイツ」はマーク・ミラーの風刺がきいた、どちらかといえば年長者向けのコミックだったけど、この映画はそれを変に子供向けにアレンジしてるものだから、セリフやストリーが単純な割にはキャラクターに毒があって、スーパーヒーローなのにどうも嫌な性格の連中が揃ってるというのもどうかと。どうしてもマーヴェルはDCにくらべてアンチ・ヒーローが多いので、チームものをやると仲間同士のいざこざが目立つのはコミックでも同じだけど。

アニメの出来も中途半端で、リアルにしたいのかカートゥーンっぽくしたいのかいまいち理解しにくいし、映像効果なんかに金をかけてるのは分かるんだけど、そのわりには全体的にやたらチープな感じがするし。フォックスの失敗アニメ「タイタンA.E.」に雰囲気が似ている、といえば分かってもらえるでしょうか。アメコミをアニメ化するのって意外と難しいことだと思うけど、独自のスタイルを確立させたブルース・ティムがいかに偉大であるかを、この作品を観て再認識した次第です。いっそのことマーヴェルもティムを雇って作品を作ればいいのに。劇中のキャラクターと全く似てないビライアン・ヒッチの絵が、最後に流れるのは皮肉だよなあ。

これだけ書いといて何だけど、マーヴェルがこうしたアニメをつくることになったのはファンとして嬉しいことだし、作品の内容も決して原作を改悪したようなものではないことは十分理解できるのです。全体的な評価としては、良くないんだけど決して悪くはない作品といった感じ。ネット上でも同様の意見が多いようだ。今後マーヴェルはDVD向けに本作の続編や「ドクター・ストレンジ」(なぜ?)などのアニメを続々製作するみたいなので、とりあえずクオリティの向上を期待したいところです。

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