たまには社会見学でもしよう、ということで品川の中央卸売市場食肉市場へと行ってくる。あれって品川駅のすぐ近くにあるのね。本当は屠殺場とか肉のセリを見たかったのだが、当然ながら個人での見学はできず、敷地内にある「お肉の情報館」だけ見てきた。
ビルの一角を使った展示室といった感じで決して広くはないのだが、日本の食肉の歴史とかブタやウシの模型などが展示してあって、食肉のことはひととおり分かるものになっている。動物を屠る作業の流れも詳しく説明してあり、でっかいナイフやフックなんかも飾られていた。動物を殺す作業は洗練されているようで、数年前までは脊髄にワイヤーを通して神経を破壊して暴れないようにしていた、なんて解説を読むとうーんと考えてしまいますね(いまは電流を流してるらしい)。
あとは畜産業に関わる人たちの人権の解説にも多くのスペースが割かれていて、関係者に送られてくる誹謗中傷の手紙なんかも展示されていた。モリッシーみたいなハードコアなベジタリアンが書いてるのかと思いきや、「ブタは韓国で殺して肉を飛行機で持ってこい!」みたいなことが書いてあったりして、結局肉は食いたいのかよ!といった感じでした。要するに食肉というよりも部落差別がされているんだよな。ネット上の書き込みに比べ、リアルな手紙に書き連ねられた罵詈雑言というのはインパクトありますね。ただし食肉業界もイメージの向上を気にするあまり、横山光輝の「三国志」における肉屋の描写に抗議して変更させるなんて行為は矛先が違うと思うよ。
俺自身は家ではなるべく肉を食べないようにしているのですが、人間が他の動物を食べるというのは、これはもう歴史的にも文化的にも仕方ないことだと思うのですね。米トラベル・チャンネルの「Bizarre Foods」という世界のゲテモノ料理を紹介する番組があってよく観ているのだけど、世界のあちこちで気のいいオバちゃんたちがニコニコしながら動物をさくっと屠って伝統料理を作る(ただし内臓や皮などは一切無駄にしない)のを観ると、まあ人間というものは食べられる物はなんでも食べることで生き延びてきたのだ、と思わずにはいられないのですよ。とはいえ食べ物が豊富になった(はず)の文明国では食肉を控えても十分に生活できるわけだし、それが環境保護につながるという意見もあるわけで、まあいろいろ考えさせられる一日でした。