原題はAnother Earth。あまり興味がなかったんだけど、いろんなところで今年のベスト映画の1つに選ばれていたので慌てて観てみた次第です。
ローダは天文学に興味を持つティーンの少女だったが、夜中に運転している際に「地球そっくりの惑星が接近している」というニュースを聞き、その惑星を眺めていたことで対向車に激突し、運転していたジョンという男性の妻子を死なせてしまう。このためローダは4年間服役し、出所後は大学に行くことも諦めて清掃員として働くことになる。そしてふとしたことからジョンの住所を知り、彼のところに謝りに行こうとするのだがどうしても伝えることができず、代わりに他人のふりをして彼の家へ清掃員として通いつめることになる。そのあいだに宙に浮かぶ「アース2」はますます地球に接近し、ついに科学者たちはそちらの住民たちとのファースト・コンタクトに成功。なんと彼らは地球の住民とまったく一緒であり、記憶や経験も共有している存在だということが判明する(要するにパラレルワールドみたいなもの)。これを知ったローダは、もう1人の自分に会いたいと思って「アース2」に行くことを決意するのだったが…というようなストーリー。
設定はSFっぽいものの内容は全然違って、ごく普通のドラマ仕立てになっている。あっちの世界にはもっと幸せな自分がいるのかな、と連想する女の子の物語といったところで、藤子・F・不二雄のSF短編みたいな感じ。派手な特殊効果などもなく、宇宙に思いを馳せながら淡々と話が語られるあたりはヘルツォークの「The Wild Blue Yonder」を少し連想させましたが、当然ながらあそこまで職人芸を感じさせる作品などではなく、ウジウジ悩む主人公と彼女を中心とする世界感は典型的なサンダンス映画ですね。こういうのをセカイ系って言うの?違う?
ブリット・マーリングという女優が演じる主人公の演技は結構いいし、全体的によく出来た佳作だとは思うものの、演出や音楽などで突出して良い部分があるわけではなく、小ぢんまりした映画だという感は否めないな。なんで批評家のあいだではあんなに評価が高いのかちょっと不思議な気もする。