「カウボーイ&エイリアン」鑑賞


エクステンディッド版を観たんだが当然どこがどう長くなってるのかは分からず。というかただでさえ抑揚のない映画がさらにダラダラとした展開になっていたような。

原作のコミックをまったく知らないことを踏まえたうえで言わせてもらうと、起承転結の「転」が抜けてるような作品。すべての映画に起承転結を求めるわけではないけれど、『エイリアンが来た=>身内がさらわれた=>エイリアンを追跡する=>彼らをやっつける』という展開は味気ないでしょ。エイリアンの意図などをもっと早い段階で明らかにして、それに対して主人公がどう戦うか、という流れにしたほうがよかったような気がする。おかげでエイリアンが人間を何のために捕獲してたのかとか、主人公のあの武器はなぜあそこにあったのかといった点がきちんと説明されてないんだよな。単に凶暴で怖いエイリアンというのは「ATTACK THE BLOCK」みたいなパニック映画でなら通用するかもしれないけど、こういう長尺の映画ならもっときちんと悪役を描くべきだろ。

あと気になったのが登場人物の多さで、彼らの描写に中途半端に時間を割いているものだから話が全体的に散漫になってしまってたな。アダム・ビーチのインディアンとか、サム・ロックウェルの医者にあそこまでキャラを立てる必要はなかったろうに。その一方で主人公は記憶喪失だし、ハリソン・フォード演じるオヤジはしかめ面してるだけでさほど活躍しないし、どうも主人公たちのキャラのほうが弱いのではないかと。

とはいえガタイのいいダニエル・クレイグには寡黙なカウボーイの役は(外見だけでも)ハマっていたな。一方でハリソン・フォードは実生活そのままのガンコオヤジを演じてるだけで、もうちょっと演技しようよ、といった感じ。「恋とニュースのつくり方」ではこの演技の幅の狭さをうまーく役にはめてたんだけどね。あとはポール・ダノとかウォルトン・ゴギンズとか出てるのにあまり見せ場がなくて勿体ないなあ。

その題材ゆえにコメディっぽくなると当初は考えられていて、製作側が必死にそれを否定した経歴のある映画だが、確かにもっと痛快な活劇っぽくしたほうが良かったかもしれない作品。

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