世間の評判通り楽しめる映画でしたよ。
ブラッド・バードが実写作品をどこまで手がけられるのかは未知数だったわけだが、アクションとコメディとの絶妙なバランスや、ラストの駐車場におけるファミコンのごときドタバタ劇をきちんと分かりやすく描いているあたりは「Mr. インクレディブル」に通じるものがあるなあと。このあと彼は実写映画でも引っ張りだこになるんじゃないだろうか。というわけで隠れた名作「アイアン・ジャイアント」を皆さん観ましょう。CGやスタントを使わなかったドバイの高層ホテルのシーンはやはり圧巻ですよ。ものすごく金のかかったジャッキー・チェン映画のような感じ。
多くの人が書いているように、ロマンス的な要素を排除してトム君のヤサ男イメージを削ったことや、チームの他のメンバーの活躍の場も増やしたことでトム君のエゴ映画という印象を減らしたことが功を奏しているのだろう。フランチャイズの主人公はジェレミー・レナーが引き継ぐという話もあるようだけど、この映画がヒットしてることや、レナーが他のフランチャイズを受けまくっている(アベンジャーズ、ジェイソン・ボーン)ことから、もう1回あたりトム君が主役を務めたりするような気がする。あとサイモン・ペッグが前作よりも活躍していて彼のファンとしては大満足。
アクションが洗練かつ充実している一方でストーリーが少し弱いのが欠点で、後半になると誰がどういう重要人物なのかが分かりにくくなってくるし、悪役が初老の「逃げ足が速い男」というのはどうかと。このシリーズは概して悪役が魅力的でないよね。でもJ・J・エイブラムス印の凡作だった前作よりもずっと楽しめる作品でしたよ。
ちなみにシリーズを通してだとジョン・ウーの職人芸的スローモーション(およびハト)が満喫できた2作目が俺はいちばん好きで、世間的にあの作品がよく叩かれてるのは納得いかんなあ。この4作目はそれと同じくらいの出来で、それよりずっと後ろにあるのが3作目、そしてフェルプス君を悪役にするという言語同断の行いをした1作目は唾棄すべき作品だと考えているんだが、皆さんはどうですか。