「X-MEN:ファイナルディシジョン」を観る。
ダメ。駄作。
最近は星の数ほど作られてるアメコミ映画ですが、そのきっかけとなった「Xメン」を俺は高く評価していて、原作がソープオペラみたいにチャラチャラしてるのに対し、「差別される者同士の争い」という重厚なテーマをきちんと汲み取って前面に据えたのが良かったかなと(そのあと原作もグラント・モリソンが執筆するようになって一気に面白くなったが)。「X2」も政府の強硬派に迫害されるミュータントたちの描写が結構良かったと思うし。要するに人物描写がきちんとしてたんだよね。
しかしこの「ファイナルディシジョン」はプロットを中心に据えてしまったゆえに人物描写に時間が割かれてなくて、登場人物がみんな薄っぺらく感じられてしまう。セリフはみんな説明口調だったり凡庸な一言ばかりで、ハリー・ベリーやヒュー・ジャックマンの演技がものすごく下手に見える。イアン・マッケランの演技さえもが安っぽく見えるのって、とてつもなく演出がヘタなんじゃないの?マグニートーって白昼の住宅地に登場させるようなキャラじゃないと思うけどね。その他の登場人物も適当に出しましたって感じで、あんなサエないジャガーノートなんて誰も見たくないんだけどね。いい年して全身メイクに挑んだケルシー・グラマーには感心するけど。
そして肝心のプロットだが、前作のラストから次は「ダーク・フェニックス」になることは明らかだったのに、そこにミュータント治療薬のプロットを混ぜたおかげでなんかまとまりに欠けたものになっている。「ミュータントであることは病気なのか?」というテーマが深く掘り下げられるのかと思ったらそうでもないし、その一方でジーン・グレイの行動はまったく意味不明。サイクロプスはあまりにも可哀想じゃないでしょうか。
監督の交代劇などでドタバタしてたのには同情するが、ブレット・ラトナーってやはりやっつけ仕事の人なんだなと実感。このあとはマグニートーやウルヴァリンのスピオンオフ作品が製作されるそうだけど、この作品よりかはマシなものを期待してまっせ。