ケヴィン・スミスの製作会社ビューアスキューが製作した作品で、とてもヒドい映画として評判の悪い「VULGAR」を観た。
うむ。これは確かにヒドい。ここまで救いようのない映画って久しぶりに観たような気がする。
とりあえずあらすじだけ先に紹介します。ちょっとキモいよ。:
小さな町に住むウィルはさえない青年で、老人ホームにいる母親にはガミガミしかられ、安アパートの前にたむろする酔っぱらいたちにはいじめられてばかり。彼は子供の誕生日パーティーに出演するピエロとしてどうにか生活費を稼いでいました。
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そんな彼はバチェラー・パーティー用のピエロとしてバイトをすることを考案します。バチェラー・パーティーといえばストリッパーが出てくるのが恒例ですが、その前にジョークとしてピエロが登場すればウケるだろうと考えたのです。
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そして初めてバイトの依頼を受けた彼ですが、訪問した先はなんと3人のキチガイ親子が待ち受けている一室で、そこで彼は暴行をうけてレイプされたうえ、その様子を撮影されてしまいます。
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帰宅して失意に沈むウィルですが、その後ある日、仕事に向う途中で娘を人質に家に篭城している男に遭遇。彼を撃退したことから「英雄ピエロ」として評判になり、地元のテレビ局で番組を持つようになります。
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ついに成功を手にしたかに見えたウィルでしたが、番組を観たレイプ犯が犯行時のビデオを使ってユスリをかけてきます。もはや脅迫に耐えきれないと考えたウィルは、仕方なしに銃を持ってキチガイ親子たちに会いにいくのでした…。
ね、何かヒドい内容でしょ?映像だとこれの30倍はヒドいよ。トレーラーだとコメディっぽく見せかけてるけど、実際は陰気な展開が延々と延々と続いていくだけ。とにかく脚本も演技も撮影もみんなダメ。最後のモーテルでの撃ち合いはちょっとだけ(ほんのちょっとだけ)いいけど、いかんせん主人公が網タイツをはいたピエロなのでものすごく興ざめになっている。
主人公を演じるのは「クラークス」のダンテことブライアン・オハロラン。彼のイジメられキャラは「クラークス」がコメディだったから面白かったけど、この作品では純粋にひたすらイジメられるわけで、観ててものすごく気分が悪くなってしまう。他の出演者はケヴィン・スミスをはじめジェイソン・ミュウズや イーサン・スプリーなどビューアスキュー作品の常連ばかり。みんなギャラ安かったんだろうなあ。
監督のブライアン・ジョンソンも「モールラッツ」なんかにちょろっと出演しているスミスの友人らしいけど、なんでこんな映画をスミスが製作する気になったのかはまったく謎。ふつう「ピエロがレイプされる映画」なんて企画書の段階でボツにするだろうに?もしかしたらジョンソンは映画のそのままにスミスの恥ずかしい写真か何かをもっていて、それをネタに製作費を出させたのかもしれない。こんな作品なのに音声ミックスをスカイウォーカー・サウンドでやってて製作費は「クラークス」よりも上だってのは理解できんよなあ。
そもそもこんな内容の映画を面白くする方法というのは2つしかないわけで、「キラー・クラウン」みたいに発狂したピエロが惨殺を繰り返す映画にするか、製作されたのが70年代で主人公がパム・グリアー、という内容でないとどうしようもないと思うんだが。
ちなみにVULGARというのは初期のビューアスキュー作品のオープニング・クレジットに登場していたピエロの名前でもある。あのクレジットも相当くだらないと思ったけど、それを長編映画にしてしまうとは。この作品を観たおかげで、俺のケヴィン・スミスに対する評価はえらく下がりましたよ。ええ。