「100 BULLETS: ONCE UPON A CRIME」読了

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何度でも言うが現在続いているコミック・シリーズとしては最高の作品である「100 BULLETS」の、最新単行本「ONCE UPON A CRIME」を読了。序文をトム・フォンタナが書いていた。この作品はやはり単行本になってから読む方がいいね。そのほうが何層にも連なった重厚なストーリーをゆっくり吟味しながら読み進められるような気がする。(以下ネタバレあり)

前作は世界を操る13の家系「トラスト」の話にいささかページをとられすぎて少し話がまどろっこしいところがあったが、今回はついに全員が覚醒したミニットメンたちによる駆け引きが読み応え十分で、話が佳境に入ったことがよく分かる。でもやはり俺のいちばん好きだったキャラであるワイリー・タイムズが死んでしまったのは残念なところ。まあ奴だけカッコ良さが際立ってた部分があったので、こうなる運命だったんだろうな。でもブライアン・アザレロのストーリーの巧いところは、フラッシュバックを効果的に使うことで既に死んでいるキャラクターでも現在の話に絡んでくるという点で、我々がワイリーの姿を目にすることはこの先もあるだろう。彼を失ったヴィクター・レイの行動に注目。

そしてストーリーもさることながら、エデュアルド・リッソによるアートも相変わらず素晴らしい。夜の歓楽街の妖しい雰囲気とか、通行人の何気ない仕草とかを描かせたらこの人の右に出るアーティストはそういないんじゃないの。ちょっと前に「スタジオ・ボイス」か何かでアルゼンチンのイラストレーター特集をやってたけど、むしろリッソのような人をちゃんと紹介しないといかんのじゃないかい。

この単行本では第76話から第83話が収録されていて、シリーズ自体は第100話で完結する予定だからあと2冊くらい単行本が出ることになるのかな。これからクライマックスに向かって続くであろう怒濤の展開に期待。

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