トム・ハーディの一人劇のような映画。監督は「イースタン・プロミス」の脚本家だったスティーブン・ナイト。
国際的な建設会社の現場監督をやっているアイヴァン・ロックは、大きな仕事を明日に控えて工事現場から車に乗って去る。しかし彼は妻子の待つ自宅へは戻らずに、とある方面へと車を走らせる。自分が行なおうとしていることについて、車中から妻に電話するロック。そして彼の行いは、工事現場の仕事にも影響することに…というストーリー。
ネタバレになるのであまり話の展開については明かせないが、ロックの目的は早い段階で明らかになるのでミステリーとかサスペンスの要素は少ない。主人公が過去の行ないについて対処するさまが、淡々と描かれていく。主な撮影はすべて車内で行なわれ、登場するのもロック一人のみ。彼が電話で妻子や職場の同僚と電話で話す(なおハンズフリーね)だけの、密室劇というか会話劇のような内容になっている。
ロック自身は自分の置かれた状況について一人で激高したりするものの、基本的には信念の強い男であり、「論理的に次のステップを考えよう」などと語るような人物。むしろ彼の行動に困惑した関係者たちを、電話で説得していくような展開が続いていく。これ30分くらいの短編映画だったり舞台劇とかだったらもっと面白かっただろうが、90分くらい電話で話す姿を延々と見せられるのはちょっとしんどいものがあるかも。
前述した通り出演してるのはトム・ハーディのみ。声の出演としてオリヴィア・コールマンやルース・ウィルソンなどが参加している。トム・ハーディはちょっと落ち着きすぎていて、どうも感情移入しにくいような。あと話す相手によって微妙にアクセントが変わってるような気がしたが、あれどうもウェールズ訛りを使っているらしい。
コンセプト的には悪くはないんだけど、話にひねりがあるわけでもなく、実際観てみるとそんなに面白い作品ではなかったかな。トム・ハーディが鼻をかみながら(撮影中カゼをひいてたらしい)90分間話し続ける姿が観たい人におすすめします。