腐女子を濡らせるSHERLOCKが2年ぶりに帰ってきた!当然ながらネタバレありなので以下を読むのは要注意な。
今回はいちおう番外編の特番といった扱いで、舞台となるのは現代ではなく原作小説の時代の1895年。道を走るのは当然ながら自動車でなく馬車であり、ホームズの冒険はワトソンが「ストランド」誌に投稿していることでちょっとは名が知られている。そんななか血相を変えたレストラード警部がベイカー街の部屋へとやってくる。花嫁衣装の女性がバルコニーから銃を乱射するという事件が起き、その女性は自ら命を絶ったものの、その数日後に夫の前にその女性が現れ、夫を撃ち殺したというのだ。事件に興味を持ったホームズは早速、その女性の死体がある安置所へ向かうが…というあらすじ。
レストラードのほかにもマイクロフトやメアリー、モリーさんといったおなじみの面々が19世紀のコスプレをして登場するのはファンサービスですかね。あの男も登場するよ。題名は原作の「マスグレーヴ家の儀式」で言及される事件からとったものらしいが、「オレンジの種五つ」を彷彿させるシーンもあり。でもストーリー自体は完全なオリジナルかな?事件と事件のあいだが数ヶ月開いていたり、マイクロフトとの会話シーンなどが挿入されるので全体的に間延びしている感は否めない。あと当時の婦人参政権運動などにまつわるフェミニズムが1つのテーマになっているものの、その扱いにはちょっと困惑させられてしまったよ。「ドクター・フー」でも死者の火葬に反対するような話が出てきて「へ?」と思ったことがあるけど、そんな感じ。
それでね、ここから本当のネタバレになるけどね、1時間くらいたったところで話のトーンが突然変わってね、いきなりシーズン4に直結する展開になってくるのですよ。「あれは○○だった!」ということで現実と虚実が交錯するわけですが、いいのかそれ。話の時系列を切り刻んで複雑にするのは最近のスティーブン・モファットの悪い癖だよな。「ドクター・フー」でやるのは許せるのだけど(実際にそれで面白くなってる話もあるし)、「SHERLOCK」でそれやるか!といった感じであった。
これ日本では2月に劇場公開するそうで、それは歓迎すべき出来事であるものの、今までのシーズンのストーリーを把握していないとまず楽しめないだろうし、19世紀を舞台にした余興的な内容を期待していると壮絶な肩透かしをくらうことになると思う。まあホームズが女性について語るところとか、特定のファンが喜びそうな要素はいろいろ入ってるわけですが。
このあとすぐにシーズン4が放送されて、すべての謎が解き明かされていくなら救いはあっただろうけど、シーズン4はまだ撮影すらされていないという…春に撮影開始といわれているけど、これからカンバーバッチは「ドクター・ストレンジ」でどんどん忙しくなってくるぞ。よってファンはまたモヤモヤした気分を抱きながら1〜2年のあいだ待たされることになるのだろうかと、観た後は複雑な心境になってしまう番組でした。
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