hulu経由で鑑賞。「AVクラブ」では最低点の「F」をつけられていた番組だが、まあ確かに出来は悪かった。
NBCはこないだ「バイオニック・ウーマン」のリメイクを打ち切ったばかりだけど、こちらは厳密にはリメイクではなく前シリーズの続編という設定になっている。軍の防衛システムに関する極秘プロジェクトに携わっていたグレイマン博士のところに四人組の男たちがやってきて彼を殺害し、プロジェクトのデータを奪い取る。そのときガレージでは人工知能を備えたスーパーカー「Knight Industries Three Thousand」ことKITTが起動し、プロジェクトの秘密を知るグレイマン博士の娘サラを守るために走り去る。そして無事に彼女を保護したKITTは彼女とプロジェクトを守る人間として、なぜかサラの幼なじみであるマイクを選ぶのだった…というのが大雑把なプロット。
なんか10年前の作品かと錯覚するくらいに話が安っぽくて、おざなりなセリフと展開が続くばかり。主人公たちとKITTのやりとりとかも凡庸だし。悪党たちもKITTに翻弄され続けるばかりで怖さがまるでないんだが、彼らの所属する組織の名前が「ブラックリバー」って…。中学生でもマシな名前を思いつくぞ。そして一番問題なのが、
主人公がボンクラ
だということ。マイクは登場時から複数のおねーちゃんとベッドにいるような奴で、ギャンブルでの借金によりチンピラに脅されているというトホホぶり。元陸軍兵士でケンカが強いというとってつけたような設定があるものの、あまりにもボンクラすぎてデビッド・ハッセルホフが演じたマイケル・ナイトとは何の共通点もない…と思ったら実はあったりするのが話のミソなんだが、昔のテレビの標準からいえば「ドジで口の達者な相棒」に相当するようなキャラ。それが今回はさらにマヌケで無能な相棒がつくことによって、主人公のサエのなさをカバー(?)している。最近のテレビは主人公がみんなボンクラばかりだよな。典型的な視聴者をそのまま反映してるんだろうけど。
そして肝心のKITTだが、今回は自在にペイントを変えることができる機能があるものの、前シリーズの定番であったターボブースト(ジャンプ)をやってくれないのが興ざめ。やはりKITTはあれでトレーラーとかを跳び越えてくれなきゃ。そしてなんか全体的にCGI処理がショボくないか?観てて明らかに合成と分かるようなシーンが沢山あったぞ。最先端の技術を集約して作られた車のはずなのに、内蔵されてるキーボードがアップルの民生品だというのも妙にチープではある。KITTの声を演じるのはヴァル・キルマーだが、あまりにも無機質で面白みはなし。スポンサーの都合で降板したウィル・アーネットにぜひ演じて欲しかった。
これが60分のパイロットだったら話がタイトになっていて面白かったんだろうけど、90分のTVムービーにしてしまったため冗長な作品になってしまったのは残念。個人的には「F」とまではいかないけど、「C」か「D」くらいの点しかあげられんな。昔のシリーズをリメイクするのなら「ギャラクティカ」くらいに気合いを入れてやってもらわんと。