「ラ・ラ・ランド」鑑賞


・おれジャズは苦手っす。
・アカデミー賞で一悶着ありましたが、結果的に話題になったし劇場でヒットしてるし、良かったんじゃないですか。
・全体的な感想としては、ミュージカルの入門編的な作りになっている作品かと。過去の作品のオマージュを散りばめながら、ビッグナンバーのところはしっかり派手に展開させて、恋愛に関するシーンは親密に撮って、能天気なミュージカルなどにはせずに緩急をつけて万人受けする内容に、巧みに仕上げている。
・ただその一方で、皆が受け入れやすくするために作りをあまりにもベタにしてしまったのではないか、という印象は最後まで拭えなかった。カフェでバイトしてる女優志望とか伝統にこだわるミュージシャンなんて手垢のついた設定だし、歌が始まると周囲が暗くなるところとか、プラネタリウムでの演出はあまりにも型通りで興ざめしてしまった。デミアン・チャゼル、「セッション」のほうがもっとエッジの効いた演出してたよね。
・「その予定が今日だったの、忘れていた!」という展開も1度なら許すよ、でも2度やるなよ!スマホでスケジュール管理してるなら、ちゃんと予定入れとけ!
・演出にくらべて撮影は確かに見事。1時間もないマジックアワーでの撮影はさすがにグリーンスクリーン使ったのではと思ったら、本当にロケ撮影してるんですね。アカデミー賞受賞は妥当かと。
・エマ・ストーンって「ドスのある声」というイメージが強かったが、その声で今回は歌も頑張ってます。ちょっと音の伸びが弱い気もしたものの、アカデミー賞おめでとうございます。ゴズリングはまあいつもの感じか。劇中でいちばん幸せな人はなんとトム・エヴェレット・スコットだった。
・そしてエマ・ストーンの化粧はシャワーでも落ちない。

・ミュージカル黄金期の雰囲気をスクリーンに蘇らせたということで高い評価を得ているようですが、一方ではテレビだと「Crazy Ex-Girlfriend」とか、その前だとまあ「GLEE」とか、もっと斬新なミュージカルが出てきていると思うのですね。劇場映画でももうちょっと目新しいことやっても良かったんじゃないかと。同じく「映画に関する映画」ということで同じくアカデミーに過大評価された「アーティスト」のあとに白黒サイレント映画の波は(さすがに)やってこなかったが、こちらはもっと万人受けしやすい内容なわけで、この「ラ・ラ・ランド」の成功をきっかけにより多くのミュージカル映画が製作され、より優れたものがでてくることにつながるのであれば、これは十分に素晴らしい映画だということになるんじゃないでしょうか。

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