ジョー・ダンテ監督の、俺が死ぬほど好きな作品「マチネー/土曜の午後はキッスで始まる」(観ろ!)の付属作品である「MANT!」をついに観る。これは「マチネー」の主な舞台である映画館において公開されるホラー映画という、いわゆる劇中劇的なもの。
下の動画を観てもらえれば分かるように、内容は50年代のB級ホラー(具体的にはウィリアム・キャッスルの作品)のパスティーシュ。キャッスルの得意技だった怪しいギミックももちろん含まれていて、何の脈略もなく場面が映画館の中になり、劇中の観客が実際の観客に向かって「あなたの後ろに怪物がいるわ!気をつけて!」なんて叫ぶシーンがあったりしてすげえ楽しい。残念ながらフル尺の映画ではなく20分ほどのものだが、放射能によってアリと同化した男が凶暴化し、しまいには巨大なアリの怪物になって街を破壊する、というのが主なストーリー。人とアリの怪物だから「MANT」。なーんて安直なネーミング。
でもB級ホラーをバカにしたパロディには決してなっておらず、ちゃんと50年代に活躍した役者たちを起用するなど、ダンテの屈折してるようで実直な(あるいはその逆)オマージュがひしひしと感じられる佳作になっている。「マチネー」はDVDも入手困難になっている状況だが、ぜひまた観たいなあ。B級映画監督を描いた作品としては「エド・ウッド」よりも優れていると個人的には思っているのです。
これが「MANT!」のトレーラー:
でこっちが「マチネー」のトレーラー: