「ブラジルから来た少年」鑑賞

かつて中島らもが希有のカルト作品であるかのように取り上げてた記憶があるが、グレゴリー・ペックとローレンス・オリヴィエという2大俳優の共演作というだけあって、すくなくとも欧米ではそれなりに知られた作品、のはず。

ナチス・ドイツの敗北後にブラジルで潜伏していた「死の天使」ことヨーゼフ・メンゲレによる、ヒットラーのクローンを世界各地で育てようとする計画と、それを暴こうとする老ナチ・ハンターを描いたストーリー。しかし演出がタルいうえにメンゲレが何をしたいのかが終盤までよく分からないうえ、メンゲレを演じるペックの演技は大げさすぎ。オリヴィエのナチ・ハンターもヨボヨボの老人でどうも頼りないし、正直なところ観てて面白い作品ではなかった。カルトというよりも単なるB級の映画。

もちろんヒットラーの生物学的なクローンを作っただけでは彼と同じ性格の人間が出来るわけではないから、なるべく彼のものと似た生活環境の家庭に送り込んで同じような人格形成を行うという設定がされており、おかげで小ヒットラーたちはみんな立派なクソガキに成長しているんだが、そんな簡単に同じ性格の人間って作れるのか?レゲエにはまって黒人と仲良くなるヒットラーとか、朝からビールばかり飲んでるホワイトトラッシュのヒットラーとかになるほうが確立は高いと思うんだが。

ちなみにこの映画が公開された時点では本物のメンゲレは存命だったそうな。つまり現代でいうとオサマ・ビン=ラディンがサダム・フセインのクローンを作ろうとする映画をビン=ラディンに無断で作っちゃったようなものか。こういう場合の肖像権とかってどうなるんだろう。

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