「カーズ」鑑賞

いまさらですが。ピクサー作品のなかでは一番出来の悪い映画、という見方が定着してきた作品だけど、ちゃんとピクサー作品としての質は保っており、決して悪い作品ではなかったと思う。

「トイ・ストーリー」の頃はそのCGのクオリティに驚愕したわけだが、CGアニメが巷にあふれてる今日となってはいかにCGが素晴らしかろうとも大して驚かなくなったかな。そうなるとやはりストーリーの出来がさらに重要になってくるわけだが「高慢な主人公が、田舎で自分を見つめ直す」というプロットはいささか使い古された感があり、それで2時間近く話を引っ張って行くのはしんどいところがあったかも。

ピクサー作品が他のCGアニメ映画と一番違うのは、どれだけ大作になっても、作り手の個人的な経験が反映された非常にパーソナルなものになっている点で、例えば「ファインディング・ニモ」はアンドリュー・スタントンが親になった経験から生まれたものだし、「インクレディブルス」はブラッド・バードが忙しく働きながら家族を養っていった経験が原点になっているわけだ。これが他のスタジオの作品だと「セレブな声優使って、マーケティング山ほどやってガッポリ儲けよう!」みたいなハリウッド的商業主義が露骨に感じられるんだが、ピクサーの作品には作家の手作り感のようなものがあって、それが高い評価につながってるわけなんだよね。しかしこの「カーズ」にはそうした作家の主張がどうも感じられなくて、凡庸なストーリーの作品になってしまっているのが残念。なんか続編も作られるようだけど、いったいどのような話になるのやら。