「MILITARY WIVES」鑑賞

みんな大好き「フル・モンティ」のピーター・カッタネオ監督の新作。

イギリスの軍事基地に住む軍人の妻たちを主人公にした作品で、中佐の妻であるケイトは新たに妻たちのレクリエーション係を担うことになり、彼女たちの気晴らしになることを模索する。基地で気楽そうに暮らしている妻たちだったが、夫たちが戦地(アフガン)に派遣されており、いつか還らぬ人になるかもしれないというストレスを日頃彼女たちは抱えていたのだ。そんな妻たちのストレス発散のために、ケイトは彼女たちを男性ストリップショーに連れていく…のでは当然なくて、合唱グループを編成することを思いつく。しかしグループのもう一人のリーダーであるリサと指導法の意見が合わず…という内容。

例によって「事実に基づく話」でして、実際にイギリスには軍人の妻たちによる合唱団がいくつも存在していて、それをフィーチャーしたリアリティーショーもあるんだそうな。

まあ内容はこの手の映画にありがちな、非常に典型的なものになってまして、クラシックはダメだった女性たちがポップソングを歌うことでノリノリになったり、シャイだった女性が歌うことで自己表現に目覚めたり、リーダーふたりが肝心なところでケンカしたり、いわゆるフィールグッド映画のフラグを1つ1つ丁寧に立てていくような、かなり先の読める話になっております。

まあお決まりの展開であってもそれが楽しめるものならば不満はないし、妻たちが歌う懐メロだらけの合唱曲(ヤズー!ティアーズ・フォー・フィアーズ!シンディ・ローパー!)も聴いてて心地いいものであるのは間違いないのだが、1つの映画を成すにはあまりにも抑揚がないような。性格の違う人たちが集まって目標のために団結する、という点では「フル・モンティ」にも通じるけど、あっちにあった軽快さがこの映画には決定的に欠けているというか。あと30分くらい短くても良かったんじゃないか。

ケイトを演じるのがクリスティン・スコット・トーマスで、リサ役にシャロン・ホーガン。どちらの女優の過去作も観てるはずなのですがあまり記憶に残っておらず…でもこの映画での演技は悪くなかったですよ。あとは知ってる顔だとジェイソン・フレイミングが出ています。

無難な線を狙わずに、もうちょっと冒険しても良かったんじゃないの、と思ってしまう作品。「フル・モンティ」を期待してはいけないよ。